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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゲームファイブ

作者: シガレット

~~~~~【レストレスト(全回復)】


朝。

珍しく時計が鳴る前に、外で鳴く鳥の声に夢から覚めた俺は、ベッドの上で身じろぎしながら、カーテンに透ける外の明るさを薄目で目測する。


…早朝も早朝、多分四時だか五時辺りの具合だな。七時半に家を出れば余裕で学校には間に合うのだからして、二度寝をするにやぶさかではない。


そう考えて目を閉じる…前に一応、正確な時間を知ろうと時計を見る。


4:15


ああ、えらい早く起きてしまった。

俺は二度寝を決行する事にした。




再び熟睡から目が覚めた俺は慌ててベッドから立った。体感としては七、八時間は寝たのではないか、という清々し過ぎる目覚め。

この感じは遅刻必至ではないか。下手をすれば無断不登校になったのではないか。

焦って時計を見た俺は少しギョッとした。


4:17


「えっ」


思わず声が出る程、体感と実時間とのズレを感じた俺は、目の前の電波時計に半信半疑となった。

念の為、スマホを点け、リビングに向かってテレビを点けたりして時間と曜日を確認したが、間違いは無いらしい。


どうやら俺の体内時計が何やら狂ったらしい。

親父が偶に(酒か何かで)そういう経験をしている様子を見た事はあったが、まさか若い自分の身にそれが来るとは思っていなかった。

存外違和感が強くてなかなか不快だ。


今更二度寝という気も無くなってしまったので、そのままテレビのニュースを流し見て時間を潰そうか。


~~~~~【パーソン(Third Person)】


朝。

何とは無く早くに起きた少年は時計を見て小躍りした。


5:00


昨日は夜更かししてオンラインゲーム(FPS)をやり続けて3時以降に寝た筈だった。

たった2時間かそれ以下しか寝ていないというのにこの清々しさと言ったらどうだ。

ひょっとすると自分は所謂ショートスリーパーとか言う、お得な人生を送る人種だったのかしらん。等と察してニヤニヤと少年は笑った。


早起きは三文の得。早速登校前に一試合消化してくれようと少年はPCに向かった。


それから遅刻ギリギリまで視界を遮る自分の頭を傾げてオンラインゲームに興じた少年はその辺りでようやく違和感に気付いたが特に深く考えなかった。


~~~~~【タイアレス(疲れ知らず)】


朝。

私はラジオニュースを聴き流しながら日課のランニングに勤しんでいた。

ニュースによると、深夜だか早朝だか判断に困る時間帯になんか見た事の無い隕石が太平洋を横切って行ったらしい。


その昔、ハレー彗星とか言う星が地球の近くを通った。なんて話を聞くが、その隕石 は何がどうなったのか、成層圏より下まで接近した上でスイングバイして空の彼方へ消えたのだそうだ。

物理に詳しくない私でも「んなアホな」と思う話だが、宇宙人を信じている私に隙は無かった。

隕石に偽装したUFOのニュースを聞き付けてから私のテンションとランニングペースは上り詰める一方である。

後から発表されるだろう隕石動画を授業中であろうと視聴する事を堅く決意しながら私は走るペースを引き上げ…


待てよ。

私はいつから全力疾走を続けていたんだろう。

走りながら腕時計を見る。


4:51


隕石のニュースを聴いた時間は緊急速報で来たので間違いなく覚えている。

確か、


4:16の出来事だ。


その筈だ。


走りながら深く深呼吸した私は、いつの間にやら首のタオルが乾いている事に気付いた。


~~~~~【黒昼夢ポーズ


朝。

起きてから暫く、自分の行動がギクシャクしている事には気付いていたが、

まばたきが原因だと分かった時にはその意味不明さに少し笑ってしまった。

俺の目がおかしくなった訳ではなさそうだ。

頭がおかしくなったのか?

時計を見る。


6:43:57


6:44:00


分の切り替わりと同時に目を閉じる。

ビタイチ動かせない自分の身体を気持ち悪く感じながら、数を数える。

…300秒、つまり五分。

ビタイチ動かせない身体は、当然呼吸も止まっていたのだが、意識はハッキリとしていたし、苦しさも感じなかった。


目を開く。


6:44:00

6:44:01

6:44:02


目を閉じる。

自分が飽きるまで閉じる事にした。


職業柄、だろうか。生徒の事や宿題の提出率や哲学や、そらんじた文学の内容ばかりが頭に浮かぶ。


こんな事だからモテないイケメンだ、などと揶揄されるのだな。と少し可笑しくなった。

笑みは浮かべられなかったが。


さて、そろそろ、本来なら恐らく遅刻どころか、授業が始まる時間になっている頃だろうか。


目を開く。


6:44:02

6:44:03


俺は溜息を吐いた。

どこかの文学作品の主人公が味わう様な不条理を、味わった。


~~~~~【ドンウィークネス(ステータス)】


朝。

僕は登校してきたクラスメイト達を眺めながら優越感に浸っていた。

今朝から自分の能力が高まり続けているのが分かるのだ。

学んだ事を忘れない。

自転車通学で火照った身体の、筋肉が衰えない。

ゲームキャラクターのステータスの様に伸びる一方で、衰えないのだ。


今朝目覚めた時から何と無く分かった、その能力を僕は

【タイアレスライブラ(疲れ知らずのてんびん)】

と名付ける事にした。


中二病臭いと思われても僕は実際に中学二年生なのだから仕方がない。


ただまあ、便宜上俺の能力と呼ぶが、僕の能力は恐らく貰い物で、下手すると一過性の、明日にも失ってしまうようなシロモノなんじゃないか、とは思っている。


というのも、昨晩に太平洋辺りをわけわからん隕石が通ったらしく、時間的に見て【タイアレス】はその影響で発現したらしいのだ。

そう考えるとこの能力はむしろ病原菌かなんかの影響っぽくてキモい。


しかしながら病気にも悪いものとは別に良いものもあると聞く。

良性とか言うヤツだ。

なんだっけか、病気に罹ってるのは間違い無いけど何故か健康を害してないとか、寧ろ身体を強化してるとか、なんかそんなヤツだ。

コレラだかチフスだかに罹ったけど健康を維持出来てる人が居るとか、なんかそんなのだ。


つまり第五部のスタンド理論だな。


カッコいいじゃないか。

俺の絶頂は止まらんぜ。



などと考える僕の視界に〝能力者〟の女子が入って来た。

いや見た目には分からんけどなんか分かった、気持ち悪っ。

待てよ、これってアレか。あのパターンか。


僕は何気なく立ち上がって何気なく彼女に接近して、すれ違う一瞬に、


「君も、能力者なんだろ」


言ってやったぜ!

そしてクールに立ち去っ



あの女なんかすげえ勢いで僕を追い掛けて来るうううう!!


あれ絶対全力走りだって!

なんで息切れないんだアイツ!

あ、それが能力か!疲れ知らずか!

うっわ、ゲームのキャラとか延々走れるけどさ、現実だとそれ怖いな!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白そうですねー 何かこう特殊能力に目覚めたときってワクワクしますよねー(目覚めたことはないですが、昔、変なことを習得するために練習して、出来るようになったことはあります。指の第一間接だけ…
[良い点] 続きが気になるストーリーですね。 [気になる点] とにかくわかりにくい。登場人物がいきなり出て、よくわからない能力に戸惑うシーンの連続で、そもそも登場人物が何人いるかさえもわからなくなる。…
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