チリンは何処に⁉︎
ダーラスは切り裂き魔の1人を逃してしまったが、チリンが一人でアルダスのもとまで戻っていると思い、アルダスのいる入り口に向かっていた。
「全く。秋月ったら声かけてくれれば良かったのに。あの女が逃げていると分かれば最後の攻撃も防がずに、やつを倒せたのに」
ダーラスはブツブツ言いながら走っていた。するとそこに血を流して地面に倒れている女がいた。
「おいそこの君‼︎大丈夫か?意識はあるか?」
ダーラスは気絶している女に声をかけたが意識がなかったので反応がなかった。
「こんなところに放置していたらこいつ死んじまうところだったぜ。全く運のいいやつだな。よっこらせと」
ダーラスはそう言って気絶していた女を担いで入り口へ戻った。
女を担いで商店街の入り口に着いたダーラスは、入り口で待機していたアルダスと合流した。
「よ。お勤めご苦労。ところでその担いでる女は誰だ?」
「ここに帰って来る前に拾ってね。結構重症だから私が治療してるね〜。」
そう言ってダーラスは入り口に作ってあった拠点の小さな建物に入り、実里の集中を開始した。
「さてと。あいつは今治療中だし、切り裂き魔のことは後で聞くようにするか」
アルダスはダーラスが実里を治療している間、周りの指揮をとり、いつもイナハルが命令している感じのような指揮をとった。
「よしお前ら。ダーラスが多分切り裂き魔の野郎を倒してくれたから今日は休みな。今日休んで明日、城に戻るぞ」
指揮したアルダスは他の騎士たちを休ませて、自分一人だけで拠点の警備をしていた。しばらくすると小さな建物からダーラスが出てきた。
「ふぅ。何とかあの女は一命をとりとめたよ〜。私が拾ってなければ彼女はもう死んだも同然だったかしらね〜。」
ダーラスはアルダスの近くにまで行き、座れそうなところに座り、アルダスに聞いた。
「すまないね。私が切り裂き魔のやつを逃してしまったって。確実に倒せたんだが、秋月を庇いながら戦っていたら最後やつを狙われて逃げられた。そうだ。秋月チリンここに戻ってきてないか?」
ダーラスは切り裂き魔を逃したこと。そしてチリンがここに来ていないかを聞いた。
「え?ここには来ていないぞ?ダーラスこそ秋月と一緒にいないけど?どうしたんだ?」
ダーラスはそれを聞いた時、最悪な状況を想像してしまった。ここに帰ってきてないということは誰かに捕まってしまったのかと。だがダーラスは誰にチリンが捕まえられたかわからなかった。切り裂き魔は倒したのに一体誰が秋月を誘拐するんだ?そう考えていた。
そしてその答えを知る者が治療から治って小さな建物から出て来た時、その女は言った。
「私は秋月さんが誰にさらわれたか知っている」