それぞれの道
「帝国に行って帝国をたてなおすって・・・。今帝国がどんな状態かわかっているのか!」
「えぇ。承知の上よ」
あの後、魔王を倒し、アワルディア帝国から去った後、魔王戦での傷が癒えるとアワルディア帝国の様子を見に行った。
男が魔王により魔族に変えられ、それを黒布男であるカスマとアスラスの魂が融合した男による攻撃でアワルディアの男は全て死に、女性国家となったアワルディア帝国を。
アワルディア帝国は弱肉強食の帝国になり、女性だけで生活していたが、強気者は弱気者を奴隷のように扱い、弱気者は強気者に平伏しただ魂がぬけ、体が動くだけのようなあまりにも悲惨な帝国になっていた。
「お前が行ったって帝国の女のいい的だ!上手く使われて、下手したら死ぬまでこき使われて死ぬだけだぞ!」
理人は声を荒げチリンに言う。
チリンはそんな理人の肩を掴み
「理人君、話を聞いて。私ガイアラン皇国に来てからずっと考えていたの。私には何が出来るかを。みんな私を庇って死んだり敵の手に落ちたりで私は自分が弱いのがいやになってきてた」
「チリンは狙われてばかりだったから仕方ない。好きで人質になったわけじゃないし、好きで味方を見捨てたわけでもないだろ!」
「そこまで言ってくれてありがとう。私、アワルディア帝国にいた時に決めたの。この帝国を幸せな帝国にしようと。あの日魔王が目覚めるまでは。ダーランマは私を利用するだけのつもりで女王にしたてたのかもしれないけど私は本気で帝国を幸せの溢れる帝国にしようとした。でもダメだった。魔王が現れた瞬間、ダーランマの部下たちに助けられ、挙げ句の果てにカルナクまで見殺しにしてしまった。そんな私がしあわせになっていいはずがない。だから私は理人君を遠ざけてた」
「そ、それは仕方ない!魔王は強すぎたんだ。俺だって1人じゃ勝てなかった。みんながいたから俺は勝てた」
「ふ。理人君は優しいね。でも私はもう決めたのアワルディア帝国を救うって。さっきガイ王に聞いたのはアワルディア帝国の状況。ガイ王も気にしてたらしいから」
「・・・本当に行くのか?」
「えぇ。行くわ。それで理人君。最後に聞いてくれないかしら。私の言葉」
「・・・わかった」
理人は両手に力を込め拳を握りしめていた。
「私、理人君が、鏡理人が好き」
「ああ。俺も好きだよ。秋月チリン。先に言われてしまったが。俺と良ければ付き合ってくれないか」
理人は手をチリンの目の前に出し、チリンが手を取るのを待つ。
「ごめんね。まだ返事には答えられない。答えは私がアワルディア帝国をしあわせな国に変えてから答えるわ。もしそれまで理人が私を好きなら・・・期待しててね」
そこまで言うとチリンは理人の頬に口づけをし、理人は顔を真っ赤にする。
「ありがとう。最後に話せてよかった。それじゃ!今度いつ会えるかわからないけれど。私は帝国をしあわせにするまで理人君に会う気はないから!だからありがとうね!」
チリンは走りながらその場を去り、そこには理人だけが残された。
翌日、チリンと柳はこっそりアワルディア帝国に旅立ち、理人たちはチリンを見送れずにいた。
理人はチリンの決意を聞き、自分はガイアラン皇国で地位を上げるためにこの世界に残ることを決め、ガイにその事を伝え、チリンと会えるその日まで理人はギルドでの依頼をこなしたり、ガイに頼まれ、魔族の生き残りの討伐などをこなし着々とガイアラン皇国での地位を上げ、鏡理人は魔王を倒した英雄だけでなく、本物の英雄として讃えられた。
鏡理人の目的、異世界で目立つことはここにて果たされる。
異世界に着いたときにはこのようなことになること思わなかったがたくさんの経験が彼を成長させ、やがて英雄にまでのしあがる。
これは1人の男の、目立ちたがりたいがために数々のことを為し得た男の話である。
初めての作品ですが一応完結できました。
読んでくださった方
目を通してくださった方誠にありがとうございます