心の仮面
「アルダス。傷だらけでもいいけど死んでないよね?」
じょじょに目がなれたマリアルはアルダスのいた方を見る。
そこには魔王しかおらず、マリアルは
「魔王!アルダスをどこにやった!」
「我の前の地面を見よ。そこに答えはある」
魔王の目の前、地面を見るとそこにはドロドロに腐った匂いの何かがあった。
「その目の前のドロドロなのはまさか」
「ご想像の通り、アルダスだよ。だが我も無傷とはいかなかったよ」
マリアルは魔王を見ると、魔王の右腕、左腕が腐って地面に朽ち果てていた。
「危なかったよ。カウンター攻撃を全てまともに食らえばさすがの我も全身腐ってしまうところだったからな。腐らされる前にこいつをドロドロに溶かしてやったのさ。腐る能力を変えて、触れたものを溶かす能力にな」
「よくもアルダスを!絶対に殺してやる魔王!」
ダーラスが魔王に叫ぶと魔王は
「ふっ。あとは貴様ら女2人と負傷した男1人だぞ?どう我を倒す気か教えて欲しいものだな」
「もう1人いるわ。遅れているけどね。歩くのがやたら遅いからおいてきたのよ。もうすぐくるはずだわ。私たちのもう1人の希望。悔しいけれどね」
ダーラスが魔王にそこまで言うとちょうどいいタイミングかのように1人ダルそうに王の間に現れる。
「やっと着いたわ〜。全く、2人してか弱い私を置いてくなんて嫌になるわ〜。でダーラスとアルダスはっと・・・。あ!ダーラス」
「やっと来たのね。バーラン。アルダスはアイツに殺されたわ。そして今私は鏡理人の治療で手が離せない。だから頼むわよ!」
え?え?と驚くバーランだが、魔王はバーランの驚いてるさまを無視し、バーランに触れようとする。
「雑魚が!一瞬で我が溶かしてやるよう!」
「魔王がどうした!私の目に逆らえる奴はいないのよ!さぁ!あなたのその能力で自分に触れて、自身を溶かしなさい!」
魔王はバーランに命令され、魔王の動きが止まる。
「な、に。体が、うご、かな、い。右手が、勝手にぃぃぃぃぃ!」
魔王は自分の右手が胸部に行くのを堪えようと右手に力を入れるが、そんなのはお構い無しに魔王の右手は自身の胸部に向かう。
「私の目は絶対であり必ず通じる。その為の目だからな」
バーランは魔王に自分の能力が通じると確信し、自信満々でいた。
魔王と戦っている3人、理人が治療されている間、理人は心の中で魔王には勝てないと落ち込んでいた。
自信家であり、目立つことしか考えていない理人は、こんなにも死の恐怖を感じたのは始めてで、治療が済んでも自分で起きる気力は、意思が全くなかった。