アルダスの足掻き
「な、な、な、何じゃこりゃぁぁぁ」
アルダスは自分の右手を見て叫ぶ。
「見ての通りだ。我がただ貴様らに殴られただけだと思うか?少しはうまく行き過ぎだとか思わなかったのか?我が貴様らの攻撃をあえて受けたと。全く思わなかったか?」
魔王はお腹をポンポンとし、埃を払うと立ち上がって少しずつアルダスに近づく。
「近寄るんじゃあねぇ!」
アルダスはみっともなく地面に転がる石を投げたりするが、魔王はアルダスに向かって歩く足を止めない。
「くっ!うう、ぁぁぁ!右手があ!」
「我流・杭線!」
マリアルは杭をアルダスに向けて放ち、右手を切断する。
「ごめん!私の独断だけどこれ以上腐っていくのを恐れて切断したわ!」
「う、ぐあ。す、すまない。助かった。出血は酷いがなんとか腐っていくのは・・・」
「残念ながら今更切断し、止めたところで我がもう一度、いやすぐに体に触れてしまえば貴様は今度確実に腐り死ぬ。さぁそこで待っていろ!」
「誰が待つかよ!しかし・・・」
アルダスはなくなった右腕を見た後、左手を見てぐっと拳に力を入れ、理人の治療をしていたダーラスに言う。
「ダーラス!鏡!マリアル!後のことは任せたぜ」
アルダスはそう言って自ら魔王に突っ込んでいく。
「何をする気だ!アルダス!やめなさい!王との約束、イナハルとの約束を忘れたの!」
ダーラスはアルダスに叫ぶがアルダスは魔王に向かう足を止めない。
「ダーラス。皇国のこと、王のこと。任せたぜ。後からくるやつにもよろしく言っといとくれ。アルダスはカッコよく死んだと」
アルダスはそれだけいい残すと魔王の体に触れる。
「わざわざ我に触れるとは気が狂ったか?やはり人間とは愚かな生き物よな。さぁ。腐ってグズグズに崩れ落ちるがいい」
魔王はアルダスが逃げられないように両腕でアルダスを抱きしめる。
「残念ながら逃げる気はないし、ただで死ぬつもりもない。魔王に私の能力を使うだけだ。カウンターというな!」
アルダスの体が光だし魔王はカウンターと聞いて驚く。
「ばかな!我は攻撃しておらぬし、力も込めておらぬ!なのになぜカウンターなど・・・。ま、まさか!」
「そうさ!あんたが私を抱きしめた力。それにあんたの腐食の能力を加算させてあんたにはねかえす。私はもう助からないだろうが貴様を油断させるにはこんな手しか思いつかなかったからな。さぁ!一緒に天に向かおうぜ!」
「こ、んの!人間風情がぁぁぁぁ!」
アルダスの能力により魔王の攻撃ははね返り、魔王の間全体が光に包まれる。
マリアルたちもあまりの光にアルダスと魔王の状態が見えず、数分後マリアルはアルダスがいた方角を見る。