託された仮面
「なら、奥の手を使わせてもらう。まぁさっきもらった仮面だがな」
理人はガイウが死に際に渡した仮面を懐から出し、自分の顔に装備する。
「さっきの戦いを見なかったのか?それを装備したガイウはあっけなく我に殺されたのだぞ?そんな弱い奴の能力など貴様が装備したところで何も変わらぬよ」
「どうかな。あいつはそんな無駄なことをしないと思うよ。あんたに殺されるとわかっていながらも俺にこの仮面を渡したんだからな、きっと何かしらの・・・ぐっ!」
理人は仮面を装備し、数秒たってから理人の体に異変がおこる。
「こ、れは、結構、体に、負担が、来るで、あるな」
「ほう。興味深い、少し待ってやろうではないか。我は優しいのだよ。お前たちの愚かな行為を邪魔しないし、必ず一撃くらっている。これがどれほどやさしいことか。人間君にわかるかい?」
「分からねえな。俺に慈悲を向けたとして部下に対しては何も慈悲を残さずむしろよく倒したと言う魔王は全然優しく感じねぇな!」
理人は仮面をつけた後の状態に順応し、魔王を攻撃する。
「無駄なことを、そんな攻撃受けて・・・!」
魔王は理人の攻撃を当たりそうなところで避ける。
「どうした?なんで俺の攻撃を避けた?」
「ふっ。やっと少しは本気を出して戦えるというところか。その仮面、貴様の能力、そして身体能力をかなり格上げしているだろう」
「攻撃を受けてもいないのによくわかったな。流石は魔王様だな」
「当たり前だ。だが避けるほどの脅威ではない。次からは全て受け止めてやるぞよ」
「ぬかせクソ魔王が!」
理人は魔王に殴りかかり、魔王は理人の攻撃を全て受け止める。
「ぐ、この!本気で止めやがるとは!」
「いやー。いい感じだよ人間。我に触れられるものはなかなかおらぬからな。人間で我の拳に触れた奴は貴様で何年ぶりだろうかな?」
「そんなもんしらねぇよ!受け止めるくらいならくらったらどうだ!」
理人は喋りながらも魔王に攻撃を何度も何度も打ち込む。
「ふっ。これくらいしてないと貴様はつらまぬであろうが我は受けているだけではつまらぬ。故にこうして受け止めている」
「本当は俺の能力無効が魔王様のより上まわってしまうから受けたら再生できないからこそあえて拳でとめてんじゃないか?違うか?」
魔王は理人の言葉に何も反応せず、ただ理人の攻撃を受け止め続ける。
「沈黙は肯定と認めるぜ?」
「調子にのるな。人間種」
魔王は理人の顔面を、仮面を割る程度の勢いで殴りつけ、理人の仮面はあっさり砕け散り、魔王は理人の腹に一撃、ストレートを決めた。