魔剣士と黒布男
「さてこやつはじきに消滅するでござるからな。さっきの鏡理人?でござったかな?奴を倒しに向かおうでござるかな」
アルバルトンは一度、木刀を腰にしまい、理人が向かった魔王の方へ向かう。
消滅しかかっていたカースラは意識が朦朧とする中自分のあっけなさに笑いほうけていた。
(私はここまでなのか・・・。呆気ないもんだ。あんなやられ方で負けるなんて。だが奴には最後の一手はうった。いつ発動するかは分からないがそれが発動すれば相討ちだ。頼む発動してくれよ・・・。鏡理人、魔王はお前に任せた。私はできるだけアルバルトンを相討ちにできるように、なんとかして見せるからさ・・・)
最後は鏡理人に魔王のことを任せ、自分はやれるだけやったといい、存在が消滅していく。
アルバルトンは魔王の前にいる理人に叫ぶ。
「魔王様の相手はさせぬでござるよ!拙者が貴殿の相手をしてやるでござる!」
アルバルトンは理人に叫ぶと、理人は振り向き、アルバルトンの体の異変に気付く。
「おい、お前、腰あたりから黒い炎が」
「何を言うかと思えば、奴はすでに殺した・・・え?」
アルバルトンは腰あたりを見るとアルバルトンの腰付近が燃えていた。
「な、な、な、なんじゃこれは!」
「そうか、あいつはそうしたのかな」
「そうしたのかってそんなことあんまり知らない奴がいったらダメでござるよ!でこれは一体なんでござるか!」
「なんとなく予想はつくだろ。あいつしか使えない黒炎ってことはあいつが死んだ後でも発動する仕組みの技とかな」
「そんな、ありえないでござる!拙者、死ぬ前のやつには触れてはござらぬ!木刀で触れ・・・まさか!」
そう思う間にもアルバルトンの体を黒炎が焦がしていき、下半身が早くも燃え尽きる。
「ま、まさか拙者が木刀に触れた瞬間、黒炎を木刀につけて拙者の体まで上り詰めるまで時間がかかるような技を使うとは。油断したでござる」
「もう下半身が燃えて上半身しかないのに、よくもそんなぬ落ち着いていられるな」
「拙者とて、まだ死にたくはないでござる。しかし、死んでしまうからといって、みっともなく喚くなど、剣士の恥でござる。だから」
アルバルトンは燃えてきている右腕を頭上に掲げ、魔剣を生成する。
「これが拙者の最後の魔剣生成でござる!受けてもらうでござるよ!鏡理人!」
理人はアルバルトンに応えようと、受けて立つ姿勢にはいった。