黒布男の本気
「ふぅ。こんくらいでいいかな試運転は。いやー助かったよ。アベ?だっけか。あんたほどの実力者なら私はどれくらい強いか確かめられたし、おあつらえ向きにこんな暗黒の結界で見えないようにまでしてくれて本当におおいに助かったよ」
「ぐ、貴様。さっきまでと全然違うではないか本気を出していなかったのか?」
「本気、ね。私はまだ全力でもないのだけれど。お前で私はどれだけやれるのかを試していただけさ」
アベの体は黒布男により、氷漬けにされたり、燃やされたりですでに全身がズタズタで、喋るのがやっとであった。
「く、私で試すとはいい度胸だな」
「お前は体がボロボロでよくそんなことが言えるな。ある意味すごいわ」
「ふっ。確かにズタボロかもしれないがまだ私は死んではいない。これならばすぐにまた戦えるようになるさ」
アベはズタボロの体で黒布男に言うが、黒布男はどうせ強がりだろうと思い、
「まぁなんだ。頭いってるやつの話を聞くほど私も暇ではないからな。ただ貴様が私のことを殺した?トドメを刺した?まぁどれでもいいや。間接的に関わっているっぽいからな。だからかなり痛い目にあってもらったし、実験もさせてもらった。もう用無しだからさっさとくたばれや」
黒布男はアベに向けて黒炎を放ち、アベの体を骨も残らない勢いで燃やす。
「あ、あ、あ、あつぃぃぃぃ!ま、まだ私は!私は戦えるのだ!こんな、こんなカスマとアスラスを混ぜたような劣等魔族ごときにぃぃぃ!」
「そうだ。私ってば名前を決めてなかったよ。そのカスマとアスラスを混ぜたとかムカつくからねー。今簡単に決めるとするよー。そだね。私の名前は」
数秒考え、黒布男はポンと手を合わせ、アベに言う。
「私の名はカースラ!この名を覚えて燃え尽きるがいい!」
「カ、カ、カースラ!貴様は絶対私が殺してやるぅぅぅぅ!」
アベは最後の抵抗に衝撃刃をとばすが、カースラは氷で衝撃刃を止める。
「魔王の左腕か右腕ぐらいの強さを誇る貴様もこの程度か。悲しいな。さらばだアベ君」
「ふ、今に、見ていろ。貴様はじきに死ぬからな、己が慢心によって。先に地獄で待って、いるぞ。魔王様、ナンレ様、アベはここまでです。お役に立てずに申し訳ありませぬ」
アベは燃え尽き、カースラが勝利し、暗黒結界は解除された。
暗黒結界から出た2人を見て魔王は手で拍手をする。
「いやー。劣等種である君たちがここまでやるとは思わなかったよ。ごめんね舐めてかかって」
魔王の前に魔剣士アルバルトンが立ちふさがり、理人たちに言う。
「次は拙者がお相手するでござる。劣等種ども!」