理人VSナンレ
「さてアベさんも復活したし、さっさとあなたと黒布、二人を始末しようかしら」
「ちょっとナンレ様。まだ完全に回復してないので少し待ってくださいな」
アベはナンレに言う。
「ん?回復しなくてもこんな二人楽勝じゃないかしらぁ?どうせ人間なんて大したことはないのだから」
「まぁ黒布男は大したことはないが後から来たその人間種は何かしらの能力を持っている。私なりの感だがな」
「うーん。でも考えてみれば父上にあんな戯言を吐くってことは何かあるかもしれないってことよね〜」
ナンレは急に上空に向かって叫ぶ。
「おーい〜。吸血鬼〜。いるんでしょう〜。いるなら返事をしなさいなぁ〜」
ナンレが叫ぶと上空から黒い球体がボンっと現れ、球体の中から男がそろりと出てくる。
「おー。お前吸血鬼か。久しいな」
「挨拶が遅くなり申し訳ありません魔王様。それで、ナンレ様は私に何ようですか?」
「あなた、結界をはれるわよね?私とそこの人間種、そしてアベさんと黒布のやつを結界に分けて入れてちょうだい〜」
吸血鬼はため息をつきながら
「へぇへぇ。分かりましたよ。それじゃあいきますよ」
吸血鬼は高速で指を動かし、何かを詠唱する。
「勝手に決めたけどこれでいいかしら父上にアベさん」
ナンレはアベと魔王に聞き、アベはありがたいですと言い、魔王は
「お前の思う通りにやりそやつらを倒して抹殺するがいい。そして我ら上級魔族に逆らうとこうなるということを思い知らせるがいい」
魔王がナンレに言うと、ナンレは頷き、そしてその時、吸血鬼の詠唱は終わる。
「では僭越ながら。我が暗黒よ!かのものを取り込み、包み込め!暗黒結界!」
吸血鬼が唱えるとナンレと理人の頭上に黒い闇が降り注ぎ、その闇はやがて四角の球体に変化する。そして、黒布男とアベの頭上にも降り注ぎ、四角の球体へ変化する。
「私の仕事は終わったので失礼します。魔王様」
「待て吸血鬼、貴様どこに行く」
魔王は吸血鬼を引き止め尋ねる。
「いや、外にいい得物がいたので私はそいつらを狩りに行きます。あ、私一人でやりますので手出しは不要でお願いしますね」
吸血鬼は球体に戻り、ボンっと消えていく。
「魔王様、拙者はどうすればいいでござるか?」
アルバルトンは魔王に聞き、魔王は
「お主は保険よ。もしも二人のうちどちらかが負けて出てくれば貴様が仕留めろ。わかったな」
了解でござるとアルバルトンはいい、魔王の近くでちょこんと座った。