死闘 2
「バ、バカな。人間風情がなぜ魔族の魔力を・・・」
「はぁはぁはぁ!わたし、だってなぁ!ただ研究室に、こもって、いたわけじゃ、ないんだよ!。ここぞというときの、為に、こういう薬品を、つくって、いたのさぁ!」
ぐっ!と胸を押さえながらアワリオは魔王に言う。
「制御ができないのであれば意味はないであろう。暴走の覚悟でいるというわけか。なるほど、まぁ我の前ではそれぐらいの覚悟はしてもらわねばな。しかし、我には通じぬ。いかなる策であろうとな」
「それは、やって、みなきゃ、わからねぇ、だろ、う!」
アワリオの腕が巨大になりアワリオは悲鳴をあげる!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」
「アワリオ、無茶は、するな。今なら戦え、る」
カルナクはふらふらと立ち上がり、悲鳴をあげるアワリオに言うが、アワリオは
「い、いからはやく!早く逃げやがれ!でないと、私がこれを飲んだ意味が、く!もういい!」
巨大になった腕でカルナクとチリーの体を掴み、アワリオは城の外へと放り投げる。
「ま、待ちなさい!私が引いたら!柳は、やなぎはどうするの!」
「女王様。あなたの、役目は、終わりました、柳なら、もう私がすでに、自由にしました。だから、早く3人でお逃げになって、そしてより良い世界をお作りください。わたしと、ダーランマ様が夢見た、世界を」
そこからはチリーたちは急降下していき、アワリオの言葉は聞こえなくなる。
アワリオは外に投げて落ちていくカルナクたちを見た後、魔王の方向に体の向きを戻す。
「酷いことするなあんた。まさか仲間を殺すとは。魔王よりも酷いのではないかな?」
「はぁはぁはぁ!魔王相手に、正面から逃がそうと考える方が、自殺行為だろう、が!」
アワリオは巨大になった腕で魔王に殴りかかるが、魔王はアワリオの巨大になった腕を捻じ曲げる。
「な、にぃ!ぐぉぁぁぁ!」
「いやぁ。カスマのやつがいい能力と混ざっててくれたからさぁ。こんなにいいことはないよ。こんな使い勝手がよく、応用もきく能力を融合させていたなんて」
「な、に。貴様、カスマ様までりようしたの、か」
「ん?そうだけど?我に必要な部下は実質二人だけよ。ナンレとアベの二人、あの二人さえいれば我ら魔族は盤石よ。しかし我々も永遠に滅びないわけではないし、昔のように封印するという策はあるからな。外にいる下級魔族を作り上げ、反映をさせねばいかないのだよ」
「外の民に何かをしたのはやはり貴様か」
「そうだ。我だよ。そして魔族の力を使った貴様も、我らと同種の存在になったのだよ。よかったな。我以外とやりあっていれば暴走は必須であったぞ」
なんだと?と思いながら、アワリオは考えていると、先ほど捻じ曲げられたはずの腕はなぜか回復しており、なぜか体の内側からの回復力がハンパなかった。
「な、なに。そんな。だが私はまだ貴様に刃向かう意思はある!」
「ならばこうしてやろう」
魔王は急にアワリオの背後にまわり、右手で頭をポン、と叩く。
するとアワリオの目は急に虚となり、魔王の言う言葉に返事を返す状態になる。
「貴様の名は、アワリオであっているか?」
「はい。私の名はアワリオです。魔王様」
「ではアワリオよ。我のために仕えてくれるか?」
「はい魔王様。この命。貴方のために喜んでお使い致します」