魔族の国
「さて、我が魔法により魔族へと変わった人間種どもには城に向かうよう脳に暗示をかけたし、次第にここに集まるであろう。その前にアベの言っていた2人組と、この国の王族がいればそいつを殺すか。邪魔であるからな」
魔王は城の中へと戻り、カルナク達を探しに向かう。
「どこにいるのかな。たのしみながらさがそうかな。どうせなら。すぐに奴らは我の敵ではないし我は弱きものは全力ではからぬ。やさーしく。かるーく揉んでやるのだ。ふふふ。はっはっは!」
陽気に楽しみながらも魔王は今の帝国の混乱状態を楽しんでいた。
その頃、チリー女王を探すため帝王の間に来たアワリオとカルナクは帝国の城下が騒がしく感じ、城の窓から城下を見る。すると、城下に住んでいる男性たちが城に向かっているのを見て何か異変を感じる。
「アワリオ。なぜ城下に住んでいる男?どもが城に向かっているんだ?何かあるのか城に、城下に住んでる奴らが欲しがるようなものは」
「いや、そんなものはない。私とダーランマは政治関係にはあまり興味がなく陰で支配していたようなものだから表向きには今の女王に任せているんだ。しかし、今の環境に不服を抱くものはいないはずだ。城に攻められたことはないしな、城下の奴らの不満の声も私は聞いたことはないし」
アワリオは今の状況に全く、心当たりがなく、まさかと思う。
「とうとう目覚めてしまったんだろうか。魔王が・・・。ダーランマ様。あなたの仇は必ず・・・」
「魔王が目覚めて城下の奴らに何かしたってことか?」
カルナクはアワリオに聞くと、恐らくとアワリオは答える。
「急がねばならないな。私らは何としても女王を連れて帝国を出ねば。城下の奴らには少しは同情はするが後に魔王を倒した後に必ず助けるさ」
「わかった。それじゃ早く女王様を連れて、帝国を出ようぜ」
そう言ってカルナクは帝王の間の扉を開ける。
そして、視線の先にはチリー女王が女王としての仕事をしており、扉が開いた瞬間カルナクと目が合う。
「あら。いったい誰かしら。急に尋ねるなんて。普通はノックぐらいするとおもうのだけれど」
「あ、あああ、あああ」
カルナクは頭を抑えて苦しみ出し、アワリオはチリーに向かって叫ぶ。
「女王様!恐らく魔王が目覚めました!そして城下の者共がなぜか城に向かって歩いてきています。何か不気味な感じがします。我々と早く帝国から出ましょう。表向きだけとはいえ帝国の女王であるあなたが真っ先に狙われるのはわかっています!だから早く帝国から出ましょう!」
「え?何を言っているの?それに私が女王をやめたら柳が・・・」
「それならば大丈夫です!だから早く私たちと城から出ましょう。手遅れになってしまう!」
アワリオは必死にチリンに言うが、チリンはなかなか動き出さず、やがて帝王の間に向かって足音が聞こえてくる。
「よかった。探していた奴らがまとめて見つかるとはまさに幸運よな」
帝王の間の入り口に禍々しい魔力を帯びた男が立ち塞がった。