アスラスが残したもの
「暇なら少し付き合って欲しいのだけれど〜」
「・・・」
吸血鬼は球体からカスマの肉体を渡した後暇かと言われ、少し黙る。
沈黙が続く・・・
「・・・」
「なんで黙っているのかしらぁ〜。暇か暇でないか聞いてるだけじゃないの〜。答えないと球体こと潰すわよ〜」
「ひ、ひ、暇です」
吸血鬼は諦めたかのように言う。
「ならお願いがあるんだけれど〜」
「お願いとはなんですか?」
「実はアスラスのやつ、死ぬ前に何かを残したらしいのよ。それが人なのかものなのかはわからないのだけれど〜。私これ以上父上の復活を邪魔されたくはないのよね〜。だから人であれば始末しておきたいし、物なら破壊しておきたいのよ〜」
「それで、私にも探せと?」
「そういうことよ〜。飲み込みが早くて助かるわ〜」
ナンレは吸血鬼に言うと、吸血鬼は二つ返事で了解し、ナンレの前から消える。
「さ、アベさん。捜索を続けましょう。早く父上を復活させなきゃだし」
「ならばナンレ様は魔王様を復活させて下さい。最初に私達が目覚めた部屋で。私はその間にアスラスが残したものを捜索します」
アベがナンレに言うと、
「え、アベさん一人でも大丈夫?私はあなたのことかなり気に入ってるし、実力も相当強いから大丈夫だとは思うのだけれど」
「大丈夫ですよナンレ様。ナンレ様をおいて死んだりはしませんよ。なんせ私は魔王将のナンバー2ですよ」
アベは親指を立ててナンレに言うと、ナンレは軽く笑い
「そうよね。アベさんはそんなヤワじゃないもんね。わかったわ。アスラスの残したものの処理任せたわよ!アベさん」
ナンレはアベにいい、カスマの肉体を担いでもといた部屋へと戻っていく。
「さて、私は捜索を始めるかと言いたいところだが、そこにいるのはわかっているんだぞ!」
アベはナンレがいなくなるのを確認した後、自分のいた城の通路で叫ぶ。
「なぜ。なぜ私がいると分かった」
アベの背後から声が聞こえてくる。アベはそれに
「ナンレ様は強いが強すぎるゆえに目で見たものしか確認出来ない。まだ完全ではないからだ。だが私はそれを補うために気配察知には特化の状態で常に歩いている。だからこそわかったのさ。でお前は誰だ!」
アベがまた叫ぶと、次の瞬間何かがアベの頰をかすめる。
「すまない。さっき氷の男に起こされてな。自分が誰だかわからないんだ。ただ氷の男はナンレってやつとアベってやつのすきにさせちゃダメだと言っていた。だからつけていたがいきなりあたりとはな」
「ふ、意味のわからないやつだ。自分が誰かもわからないのにそんなものに従うとはな!」
アベが振り向くと、そこに一人男が立っていた。