マスターナンレ 2
「この私の近接最強技であなたを倒してみせます!ナンレェェェェ!」
アスラスは氷の拳で腕を覆う。
「無駄だというのがまだわからないのか。私より能力値、そして身分、全てにおいて私の下であるお前は私に勝てる筈がない。いや、筈ではなく、絶対に勝てないんだよ」
ナンレはアスラスの拳を手のひらで堂々と受け止める。
ナンレの手は凍るどころかアスラスの氷が溶けていきただのパンチになっていた。
「な、バカな。まさかナンレ様、あなたにも解除の恩恵が?」
「懇切丁寧に説明してあげてるのになんでわからないかしら。まず私には父上の恩恵はないわ。全て私の力よ」
「あ、ありえない。じゃ私は一体どうすればナンレ様を倒せるんだ!」
「だから無駄だと言っているのよ。私にはあなたの攻撃はきかないと。何度言えば分かるのかしら?」
ナンレは呆れ果てたようにアスラスに言うが、アスラスは勝てないと思っても諦められずにいた。
「私の今までの技が通用しないなら。限界を超えるしかない・・・」
「簡単に言うじゃないの〜。限界を超えるだなんて無理に決まってるじゃない。私を舐めてるのかしら。そんなあなたに今からトドメをさしてあげるわ」
ナンレはアスラスの頭上に片腕を掲げて振り下ろす。
「そんな振り下ろすだけでこの氷の魔王将が倒せると・・・ごふっ!」
ナンレはアスラスの肩に軽く触れただけなのにアスラスは吐血する。
「な、んだ、と」
「力などいらない。軽く触れるだけで誰であろうと私の前で立つことはできない」
アスラスはそのまま地面に手をつける。
「く!た、立てない。やばい!だが・・・」
「あれ?なんか、私の手が妙に冷たいような・・・」
ナンレはアスラスに触れた手を見る。
「ほぉ。私が触れた肩に意識を集中して私が触れた部分を凍らせたか。流石は氷の魔王将。だがこんな程度では・・・」
アスラスが凍らせたナンレの手の氷は溶け落ちる。
「ぐ、これでもダメか・・・。ならば!」
アスラスは手から氷を出し、氷の剣を作り出す。
「う、おおぉ!」
「立てないくせによくやるわね。そんな状態で。そこから動けないのにそんな剣を作ってどうしたいのかしら?」
アスラスはナンレが触れたことにより足の先に力が入らず、膝で起き上がり作った氷の剣を頭上に掲げる。
「こうするんだよ!」
思い切ってナンレの頭に氷の剣を振り下ろす。
「無駄よ。あとお前にもう用はないから。死になさい」
ナンレはアスラスの氷の剣に触れて、氷の剣をアスラスのいる方向にそらし、切っ先はアスラスに向かう。
「く。か、解除!永久凍土の剣よ。永久に凍る特性を解除!」
アスラスに氷の剣が当たった瞬間、アスラスの氷の剣は止まらず、アスラスをそのまま貫いた。