魔王復活!? 3
「さて、吸血鬼はカスマのところに向かわせたし、カスマについてはこれでいいわね。後は父上の依り代だけど」
ナンレがアベに相談しようとすると、アスラスがナンレ達のいる部屋を訪れ、ナンレに言う。
「ナンレ様!ここに魔王の依り代であるダーランマを連れてまいりました!」
「ほぉ、貴様はアスラスかしかし私がよくナンレだとわかったな。肉体は人間の者なのに」
「アベ様とナンレ様は依り代から魔族のオーラが抑え切れていません。それ故にお二人が目覚めたことにも気づき、こうして馳せ参じることもできました」
「ふ、やはり私達2人は魔王将の中でも別格だからな。貴様らでは私とアベには敵わないよ。な、アベ」
ナンレはアベにいい、アベは頷く。
「アスラス。いい仕事をしてくれたじゃぁないか。こんないい依り代を持ってきてくれるなんて。いや、依り代というより生贄だな」
「生贄ですか?」
アスラスはナンレに聞く。
「そうよ。父上ほどの存在が目覚めるとなればよほどの適性がなければならないし、それに魔力を沢山蓄えられるような体の持ち主は現在確認されていない。まぁ私の身近で見たやつだけだけどね」
「こやつ、ダーランマの器では魔王様は入りきらないと?」
「父上がこんな出来損ないの体に収まるわけがなかろうが。こやつは素材がよく、父上の経験値となるべく選ばれただけよ」
「経験値?」
アスラスはまたナンレに聞く。
「父上は保険をかけたんだよ。自分の魔力、力を与えたものを糧とし、目覚めても全盛期の力を出せるように、すぐに本来の力を出せるように。さぁ、こちらにその男をわたしなさい。そいつを生贄にし父上を復活させるわ」
ナンレはアスラスが持っている、ダーランマの体を取りに行くと、ナンレの前に氷の壁が現れる。
「これは、なんのつもりかしらアスラス?」
「こいつを渡すのはいいですが、一つお願いがあります」
アスラスはナンレに頼む。カスマを殺さないで欲しいと
「お願いします。カスマのやつを殺さないでください」
「ほう。なぜ君は私がカスマを殺すと命令するのかの理由を教えてもらおうかしら」
「・・・私が考えた限りでは彼の与えられた恩恵、それが理由だと私は考えていますが違うのですか?」
「ふ、あたりよ。よくわかったわね。頭を撫でてあげるから来なさいな」
ナンレはアスラスに近づくようにいうが、アスラスは本当の狙いはダーランマだと思い断る。
「そんなやすい手には引っかかりませんよ!さぁカスマを殺すのはやめてください!」
「それはできない。アスラス。これは大事なことなんだ。わかってくれないかな?理解してくれなければ私は君を殺さなければいけなくなる。私はできれば同族は殺したくない。カスマが死んでくれれば融合の恩恵はカスマから離れ、私が頂き父上に渡す。だからわかってくれないかな?」
「残念ですナンレ様。私はナンレ様を氷漬けにしなければいけないなんて」
アスラスはダーランマの体を地面に置くと、ナンレに向かって戦闘態勢をとった。