ガイとガイアラン王
ダーラスたちのもとからアルディン、テムルナが去った頃、城の中では
「王様。必ず俺があなたをお守りしてみせます。この命の続く限り」
「そこまでしなくても最低限守ってくれれば良い。若者の方が命は大事だ。それに私とて昔は冒険者だったのだ。まだまだお前たちには負けぬよ」
「王様も昔は冒険者だったんですか?」
ガイはガイアラン王はてっきり生まれてからずっと城にこもって書類を読むか、騎士団の団長に鍛えてもらっているだけだと思っていたので冒険者をしていたと聞いて意外だと思う。
「なんだその意外だなと言った顔は。私にだって若気の至りとかあるわい。昔はやんちゃでな。城をよく抜け出してイタズラしておったわ」
「・・・なんか失礼ですけど割とありがちなやつですよね王族の方には」
ガイはガイアラン王の話を聞いたあと、ガイアラン王は少し恥ずかしかったのか顔が少し赤くなっていた。
「こんな時に緊張感のない話をして、王様は私に気負うなど言いたいのですか?」
「最初からそう言っているだろう。だから簡単に命に代えてもとかいうんじゃあない。ガイ君、君はわたしよりもかなり若いのだし、これからなにが起きるかわからない。だこらこそ、君は生き残るべきだ。わかったかい?」
「わ、わかりました。俺とて簡単には死にたくありませんし、王様は守り通したいです。きっとやつだってきてくれるだろうからな。俺はそれまで必ずあなたを守ってみせます」
ガイはガイアラン王に改めて決意を表すと、王の間の門から、ガシャンと音が響く。
「きてしまったか。さて誰だろうかな」
「王様にはかならずちかづけさせねぇ!」
ドーンとドアが吹き飛ばされるとそこにはアムライの体、カスマがいた。
「アムライ。やはり君もきてしまったのか」
「・・・ああ。最後にカスマから話す機会を貰えたから我が王に言う。我が王よ、冒険者に戻りまた各地を回りませぬか?私はあなたが冒険者をやめた時から胸のつかえが取れず、ずっとムカムカしていた。あなたは冒険者をやめる時、王族の仕事に集中せねばならぬからと言ったが、他に理由はあるだろう。それは何故だ!」
カスマによって、いっときの間、自我を出させてもらったアムライはガイアラン王に問いかける。
しかし、ガイアラン王は
「すまないなアムライ。どうあってもお前に話すことはできぬのだ。すまない」
「そうか。ならば仕方ない。私はもう地に落ちたからな。何をしようと怖くはないのだよ。カスマ様、あとをよろしく頼みます」
アムライは一度顔が下に向きがくりとなる。
しばらくすると動き出し、
「了解だ。あとは任せろ。全てをな!」