全てを見渡す目
クウはアルナラとの戦闘が終わった後、屋敷を出る。
そして1人の女が仁王立ちで庭の正面にいた。
「ふっ。探していた奴が自ら出てくるとは。探す手間が省けたよ。バーラン・クレイ」
「よくもやってくれたね。流石に面倒くさがりな私でもぷつんよ。もうかなりぷつん。まさかアルナラを倒すどころか殺すなんて。そんなあなたは万死に値するわ。かかってきなさい」
バーランは怒りをあらわにしながら、クウにケンカを売る。クウはバーランが丸腰で武器を何も装備していなかったためにハッタリだと思い、クウヤジには変身せずに人間フォームでバーランに襲いかかる。
「ははぁ。少しぐらいなら傷つけてもいいよなぁ。それじゃ行くよ!」
クウの拳のラッシュをバーランはいとも簡単に、まるで動きがわかっているかのように避ける。
「無駄ね。ほんとーに無駄。無駄な動きばかりして、本当につまらない男」
「ちっ、舐めやがって!ならくらえ!空間ブロック!」
クウは空間をバーランの体の近くにいくつも出現させる。
空間ブロックによる攻撃もまるできどうが読めているかのように全て避ける。
「な、なんで!なんで当たらない!私が攻撃する場所は分からないはずだ!」
「だからよめているって言ってるでしょ。あなた本当につまらないわ。それじゃ次に私が行くわね」
今度はバーランがクウに攻めていく。クウは攻めてくるバーランに対し、空間ブロックを何度も出現させるが、避けながらバーランは次第に距離が近づいていく。
「全部避けやがって!気持ち悪いんだよ!」
「ふふふ。気持ち悪いってあなた最高にいいこと言うじゃない。そうよ。私は気持ち悪いのよ!この眼のおかげでなんでもわかるからね」
クウは恐怖しながら少しずつ後ろに後ずさりする。
「アルナラを殺したこと、そして私を誘拐しようとしたこと、後悔させてあげる」
バーランはクウを近距離で見つめて、クウに対して言う。
「さぁ。あなたは今から私が言ったことを実行するの。わかったかなぁ?」
クウはバーランの眼を近距離で見てしまった瞬間人形のように生気がなくなり、バーランに言われたことに対し、はいとしか言わなくなる。
「あなたは今から自分の能力で自分の顔を空間で包んで潰すの。わかったかなぁ?そして私に関することは全て忘れて、仲間たちに何を聞かれても何も知らないって言うんだよ分かりましたか?あ、これは死ぬからいいか。とりあえず、空間で頭を潰しなさい」
はい!っと言って次の瞬間クウはバーランから距離を置いて、自分の能力で自分の顔を包み、潰す。
クウの体はその場で倒れ、血が首から溢れ出す。
「私の眼の前では雑魚どもでは叶わないわ。たとえ魔王将に強化されたモンスター人間だろうとね。さーて。私はこれからぁどうしようかしらぁ。とりあえず私も動き出しましょうかねぇ」
バーランは屋敷から出て、ダーラスのもとへと向かった。