魔王将の手先
「それじゃ弓道寺は行かせたし、お前の相手をしてやるよ」
「私は嬉しいですよ。アルダス様は先程の方をこの場に残し、先に行かれると思いましたので」
男は嬉しそうにアルダスに言う。
「俺は喋っている時間すら勿体無いんだ。できるだけ早く終わらさせてもらうぞ。どこの手のやつかはしらねぇがさっさと構えろや」
「左様でございますか。ならば私もお役目を早く済ませていただきますアルダス様」
男は背中から黒い影を出し、黒い影は巨大な腕に変わる。
「我が主人より頂いた恩恵、影の手」
男は背中でた影の手でアルダスに攻撃する。
アルダスは背中に装備してある戦斧を抜き、影の手を両断する。
「ふ、私にこの程度で挑もうとは笑止」
「わかっておりますとも。この程度であなた様はなんのダメージも喰らわないことも。しかし私の目的はあなた様を殺すことではありませんので」
「足止めが目的ということかな?でもお前じゃ私の足止めをするには実力不足かな」
アルダスは男に近寄り、戦斧を真上に振り上げ、男に振り下ろす。
「これで終わりだ!両断斧!」
振り下ろしたアルダスの戦斧は男の影の手によって受け止められる。
「私めの影の手には変化の能力がありまして。いわば今の形態は影の手・盾モード」
「己、この程度の盾に私の攻撃が・・・」
「あなた様は私めがこの程度だとあなた様に勝てぬととおっしゃいましたね。でしたら少し本気を出して差し上げましょう」
男がアルダスの攻撃を受け止めている影の手は背中から2本目が生えてくる。
「影の手・ツインズ!」
もう片方の影の手はアルダスの隙だらけの横腹をぶん殴り、アルダスは横に吹き飛ぶ。
「が!はぁはぁはぁ、お前」
「どうですか?これで楽しんでいただけますかな?闘将どの」
アルダスはぺっ!っと唾を地面に吐き
「寝起きの運動にはちょうどいい相手だな。どこのもんかはしらねぇがいい奴送ってくれたもんだ」
「左様でございますか。でしたら私めの戯れにどうかお付き合いいただけるようお願い致します」
男は影の手を龍の形へと変化させる。
「影の手、ツインズオロチ」
龍の顔をした影の手がアルダスに襲いかかる。
「ふ、この程度!戦斧・横薙ぎ!」
アルダスの横薙ぎは片方のオロチを捉えるが片方には噛み付かれる。
「くっ!」
「さぁ、私めの踊りに長々とお付き合いをお願い致します」
「上等だよ。お前を送り込んだやつの名前も必ず聞いてやる」
アルダスと影の手を使う男に啖呵を切って挑んでいる間、ダーラスたちのもとに向かった弓道寺は・・・。




