ダーラスとダーランマ
ダーラスはふと過去を思い出す。あの時の戦い、屈辱、そして全てを失った日のこと。
これは妖精族の口がダーランマによって破壊し尽くされ、妖精族がダーランマ以外死んだと思われた時である。
ダーラスはたまたまお使いの任務で少し遠くの村まで行っていたのだが、妖精の国のある方角からすごい爆破音が聞こえ、ダーラスは急ぎ妖精の国に戻る。
妖精の国に戻ると国は悲惨な状態となり、大声をあげながら笑うダーランマ1人だけが生き残っていた。
「アッハッハ!ハァッハァハ!」
「何笑ってるのダーランマ兄!早く生き残りを探さないと。こんな悲惨な状態になるまで一体父さんは何を」
「妖精王なら私が殺したよ」
ダーランマはダーラスに言うが、ダーラスは信じられずにいた。
ダーランマは自分よりも上級魔法が使えないのにそんな男が父に勝てるかと思うほうで信じられずにいた。
「信じられないと言った顔をしているな。私は昔の弱い私と違う。この魔王様の力によって私は強くなったんだよ。お前よりもなダーラス!」
そう言ってダーランマは魔法を放つ。
「魔王だと?魔王は大昔に死んだはず。ダーランマ兄、国がこんな状態になったから頭いかれてるの?」
魔法を避けた後、ダーラスは言う。
「頭がいかれたか・・・。そんなわけないだろ!むしろ今はいい気分だよ!なんせ妖精王を殺してお前も殺すんだからな!ダーラスぅ!」
ダーランマはまた魔法を放つ。
「仕方ない。頭がいかれた奴には何を言っても無駄か。ならばダーランマ兄、少し寝ててもらうよ」
ダーランマの魔法がまっすぐダーラスに向かい、ダーラスはそれを
「我を守れ!マジックバリア!」
自分自身の周りに球体を作り、防御する。
「では、今までの私ができなかった魔法をお見舞いしてあげようダーラス」
ダーランマは詠唱を始める。
「ダーランマ兄!隙だらけだぜ!風よ敵を刻め!ウインドスラッシャー!」
風の真空波のようなものがダーランマの肉体にまで近づく。
「なんだ一発で終わりか。やはり今までと変わらないじゃないかダーランマ兄は」
そう思っているとダーラスの放った魔法はダーランマの肉体に到達した時、消滅する。
ダーラスは当たって消滅したと思っていたがダーランマの体を見るとできるはずの切り傷がなく。むしろ何もなかったかのような顔をダーランマはしていた。
「今何かしたか?可愛い妹よ?」
「な、なんでウインドスラッシャーが聞いていないの!」
「それは私が無効化したからだよ。無の魔法、マジックキャンセルでね」
いつのまにかダーランマの詠唱は終わっており、ダーランマの魔法はダーラスの放った魔法を無効化する魔法だった。
「じゃとっておきを見せるしかないわね」
ダーラスは詠唱を始め、ダーランマはそれを見守っている。
「これで反省しなさい!吹き荒れる嵐よやつを切り刻みなさい!ウイニング・ストーム!」
ダーランマの足元から竜巻が発生し、ダーランマの体が見えなくなる。
「少しやりすぎたかしらね。まぁ骨は拾ってあげるから安心でしょ」
「そうだな。お前はもう妖精族ではなくなるからな。これはいらないだろ?」
ダーラスが後ろを見た時にはもう遅かった。
ウイニング・ストームの竜巻の中にいるはずのダーランマはダーラスの背後に現れ、ダーラスの羽を掴んでいた。
そして次の瞬間、ダーラスは妖精族としてのアイデンティティを失った。