記憶
「実里先輩!俺ですよ。鏡理人ですよ!覚えていないんですか?」
「いやお前が鏡理人なのはわかっているが待ってくれ。頭が痛くてうまく回らん。順に説明を頼む」
「まず貴方が種賀谷実里という名前なのは知っていますよね?」
名前のことについては最初から知っていたので今更とは言えない実里は
「まぁ種賀谷実里ということはわかったよ。」
と言う。次に理人は言う。
「では俺たちが育った故郷は分かるか?」
「故郷?故郷はレジスタンスの島・・・いや違う。私が育った場所は北島島?」
理人は「正解っ!」と言ったような顔をする。
「じゃ次に実里先輩の役職は?学校はなんて学校だっけ?」
「役職?学校?ちょっと待って・・・そんないっぺんに言われても。」
そんないっぺんに言われても思い出せるわけがないと思っていた実里だが、頭になぜか理人が聞いた問いの答えがわかっていた。
「学校は・・・北島川学園、役職は・・・生徒会長?これであっている?いやそうなんだ。」
実里は故郷、通っていた学校、役職を思い出したことにより、昔の異世界にきたあたりからの記憶全てを思い出していた。
「やぁ君からすれば久々ではないかもしれないけど私からすれば久しぶりなので改めて挨拶をしよう。久しぶり、鏡」
「お元気で何よりです。実里先輩」
答えた後、理人は涙を流しながら立っていて、実里はそれを見て理人のもとに近づき肩をポンポンと叩く。
「全く。君はいつからそんな泣き虫になったんだい?そんな人じゃなかったろうに。君はただの目立ちたがりやのクソ野郎だったじゃないか。」
「クソ野郎だなんて言い過ぎですよ先輩。再開も無事に果たしたところで今の状況はわかっていますか?」
理人は実理の言ったことに否定しながら今の状況の確認をする。
「実里でいいよ。君が先輩とか言ってると気持ち悪いから。後状況はわかるよ。後の記憶が消えたわけではないからね。これからアワルディア帝国に行くんだろう。もちろんついて行くよ。これからは君たちと一緒さ。」
記憶を完全に思い出した実里は理人と行動を共にすることを決めた。
その頃、ヴラドリオをとめにいったカルナクは皇国の入口に着こうとしていた。
「もうそろそろ入口付近だけどヴラドリオ様いるかな?」
走りながら辺りを見回していると、出発準備を終えて今にでもアワルディア帝国へ向かおうとしているヴラドリオをカルナクは発見した。
「ヴラドリオ様!ちょっとお待ちくださあーい」
声を大きくあげてヴラドリオに聞こえるようにカルナクは言う。
ヴラドリオは一応声のした方を向いた。
「ふむ。今誰かに呼ばれたような気がしたが・・・」
ヴラドリオが声のした方を向くとカルナクが走って来ていた。
「カルナク?一体どうした?」
焦っていそうなカルナクを見てヴラドリオは尋ねる。




