ダーランマとチリン
ガイアラン皇国での会議が終わった後の頃、アワルディア帝国ではダーランマにチリン、マリアルは謁見していた。
「ダーランマ様、2人を連れてきました。」
ダーランマのいる帝王の間に着いた時、チリンとマリアルは震える。目の前で座っている男がかなり強いと思ったのだろう。
「ご苦労。ではアワリオ、お前はお前のすべきことをするがいい。此度の裏切り者の処罰大儀であったぞ」
「はっ!ありがたき幸せ~でございますっ~。」
チリンはアワリオに震えながら近づき、
(え?柳を処罰したの聞いてないよ。とらえるだけだって言ってたじゃない)
チリンが柳のことを聞いてきた。チリンは柳にひどいことをこれ以上されないためにアワリオに従ったが柳にこれ以上何かするようであれば話は別だ。
(いや女王様との約束を破る気はないよ。ダーランマ様には粛清したと伝えてあるだけだから安心しなよ。では私は退出するので)
アワリオは小声でチリンにだけ聞こえるように伝えると帝王の間から出て行った。
「さて、お前が前帝王の娘チリー・ン・アワルディアか。まさかあの帝王に娘がいたなど驚きだぞ。まぁそう震えるな。怖い話をしようと言うのではない」
ダーランマはいまだに震えているチリンを少しでも落ち着かせようと少しフランクに接した。
「・・・私を一体どうなさるつもりですか」
チリンはダーランマに対して精一杯の一言を言う。
「なに、君にはこの帝国を私の代わりに仕切ってもらうだけだよ。私は影で君を推し、表で君が指揮を高める。君にやって欲しいのはこれだけだよ。」
「私の代わりに前帝王がいるでしょう?」
「君のお父さんはもう歳なのか寝たきり状態が続いているんだよ。私が今まで参謀として帝国を何とか納めていたがやはり私では役不足なんだよ。だから君のような娘が必要なんだ。」
チリンはダーランマにそうは言われたがこんな小娘にこの帝国をおさめるなどそんなことできるわけがないと思っていた。
「なんだ。私がやっても無駄みたいな顔して、大丈夫だ。その辺は私が上手くやるから」
「そんなこと言うなら私ではなくてもいいということじゃないですか!」
「はっ!」とチリンは思いながらさっきまでびくびく震えていたのに今では普通に怯えずにかいわできていることにおどろいていた。
「ふっ。どうやらアワリオが連れてきたのもまんざらではないらしいな。私はにわかに前の帝王には娘などいないと本気で思っていたのだが、ここまで怒鳴ったりする命知らずはそうはいないよ。まぁ私のことを知らないだけかもしれないがね。いいだろう合格だ。本格的にチリー女王をサポートさせてもらう」
「これテストだったの?もし私が合格ではなかったら?」
「殺していたかもしれないな。まぁすぎたことは気にするな。今後のことは後ほど伝えるから今はこの帝王の間から出るといい。」
「わかった。あなたに従う、他にできることも私にはないからでは失礼します。ダーランマさん」
チリンは帝王の間からでて、帝王の間にはマリアルとダーランマだけとなった。