パルディ王の変化
「早く、早く城へと向かい我のこの状態を止めてもらわねば。」
「無理だな。貴様の体は我が肉体に生まれ変わりつつある。もうお前は人間ではない。」
「っ!誰だ!我は人間、ガイアラン皇国元皇王、パルディ・ガイアランぞ!」
パルディは喋りかけていた声に怒鳴り散らした。しかし声の主は分からず、近くにいたアルディンは驚く。
「どうなされました王!周りには私しかいませんよ。それにあまり大きな声を出されると誰かきてしまいます。どうかお鎮まりください!」
「ぐぉ、誰かが我に喋りかけて・・・。ぬぉ、足が、足が痛い!」
パルディは急に足を抑えて地面に倒れこむ。
「お前さんの肉体はもはや私の、この魔王7王将が1人、モンスター王、ババランのものである」
「ふ、ふざけるな。まだ我は皇国に復讐すら果たせていないというのにこんな道半ばで死ねるか!」
パルディは頭に聞こえて来る声に喋りかけ、アルディンは完全に蚊帳の外状態になる。
「パルディ王!一体だれとしゃべっているのですか!しっかりしてください!」
「うっ、ぐぉあ。あ、足がぁぁぁぁ」
またパルディは足を抑える、やがて足から鈍い音が聞こえてきた。
グギィ、ギィギ、ボリボリバリッ!
「あがぁぁ!あ、っあ!」
鈍い音の後、パルディの足はちぎれやがて下半身が蛇のような尻尾だけになった。
「はぁはぁ、な、何だこれは」
「私はモンスターの王、母体でもある。人間のような体ではモンスターを生み出せないからな。貴様の体、改造させてもらった」
「なぜ今さらになってこんなことをする。目覚めてからすぐにでも我の体を一気に変化させれば良かったではないか。」
パルディは頭の中に語りかけてくるババランに言う。
「お前はそんなに早く自我を失いたかったのか?まぁ私は今さっき目覚めたところだからな実を言うと。だからこそ今貴様の体を改造しているんじゃないか」
「こんな意志だけで人の体を変化させるなど可能なのか?」
「普通のやつ、そして他の魔王7王将の奴らはできないだろうな。これは私だからできること。魔王様より与えられし力によるもの。これで私はいかに意識だけの状態で人の体にいようと自分好みの体へと変化させることが可能なんだよ」
ババランは魔王の力によって人の体を意識するだけで改造が可能だとパルディに説明する。
「やはりタダで強くなるなど無理なのだな。しかし我には復讐が・・・」
「安心しろ。体は乗っ取らせてもらうが貴様の意識は残しておいてやる。だから貴様の復讐相手は私が必ず殺そう。貴様の記憶を読み取ってな。」
「そうか。自分でできないのは残念だが、体が取られたんじゃ致し方ない。ただし必ずやり遂げてくれよ」
「約束しよう。」
ギュン!
 
パルディは起き上がる。
パルディを心配していたアルディンはパルディに喋りかけ、
「パルディ王、独り言が多かったですがもう大丈夫ですか?」
と聞くと、パルディは優しく
「心配をかけた。私ならもう大丈夫、体が急に変化して少し驚いただけだよ。で、どこに向かう途中だっけ?」
とアルディンに聞いた。
アルディンは何かおかしいと思ったが今はパルディの体の変化を聞くのが最優先だと思い、
「もうなにいってるんですか。アワルディア帝国城に向かっている最中ですよ。」
と言って、パルディに行き先を説明し、2人は城へとまた足を進めて行った。
 




