奴隷たちの生活
「いいかヨク。奴隷として、いやここでいきていくためにここでの生活を教えてやる」
ミンゴはヨクに言った。
「生きていくも何も。俺は早くここから出て、皇国に帰る!」
ヨクが今度は言い切ると、ミンゴは先ほどみたいに口を塞がなかったため少しキョトンとなった。なぜ今口を塞いだりしないのかと。
「ヨク。なぜ俺が今お前の口を塞がなかったというかお前の言葉を全部言わせたのか教えてやろう」
「まぁ頼む。できるだけ短めで」
ヨクは一刻も早くここから出たかったが、理由は知りたかったので話を聞くことにした。
「まぁ、まずは当たり前だと思うが、反乱分子を出さないためにこの管理場から脱出を試みようとする奴がいれば即座に捕まえられ、管理人のもとに連れていかれ、即刻罰を受ける」
「待って。なんで脱出しようと試みている奴が分かるんだよ?」
「それについては俺たちは奴隷であって、仲間ではない、周りは皆敵と思った方がいい。何故なら皆簡単に俺たちを売るからな、情報を管理人に」
成る程と思った。しかし、ヨクは報告してその奴隷にメリットはあるのかと思っていた。
「メリットがあるのかとか思っているかもしれないが、俺には分からん。ただ報告した奴隷は解放させるとしか聞いたことはないな」
「なら脱出を試みる奴を探せば・・・」
「俺はあまりオススメしないな。もしかしたら解放された後に始末されているかもしれない」
ヨクの考えが分かったのかミンゴはヨクの言葉を途中で遮り、脱出をしそうなやつを探すのはやめた方がいいと説明した。
「そうか。ならばやはり力づくで」
「やめておけ、失敗すれば死ぬぞ」
まだ脱出を考えているヨクにミンゴは言い、次に先ほど何故言葉を遮らなかったのかを説明した。
「まぁこれはさっきの理由とあまり変わらん。脱出のこと口に出すような奴がいれば、他の奴隷がそいつを管理人に言って、そいつが処罰される。だから不用意な発言は避けることだ」
「そうか。それでミンゴは俺の言葉を遮ったのか・・・。そうだ!名前についてはなんで口にしたらダメなんだ?ミンゴさっき俺の本当の名前を言おうとした時に、また口を手で塞ぎやがったけど」
ミンゴは「それはなと」続けて
「この管理場に入る時、ナンバーを振られたろ?お前だと4649。その時に本当の名前はなくなったと思った方がいい。俺たち奴隷になればもう人間扱いではなく、もの扱いだからな」
「ものにでも名前をつけているやつはいるだろう?」
「まぁ。物好きな奴は名前をつけるやつ入ると思うが、ほとんどはナンバーだよ。もしもこの管理場で本当の名前を口にすれば、腕にこの抑制の腕輪があるだろう?」
ミンゴは腕につけている腕輪をさした。
この腕輪はこの管理場に入れられた時につけられたものである。
「この腕輪には二つやってはいけないことがある。まず一つは本名を言うこと、そして二つ目は異能力を使うこと、これを破れば心臓に電流が流れてその場で死ぬ」
ヨクは腕輪を見て、本名を言わなくてよかったとかなり安心していた。もしあの時ミンゴが止めてくれなければその時点でヨクは死んでいたからである。
「ミンゴに感謝だな」
「どういたしましてだよ」




