アルダスの真の能力
「さてネタバラシといこうか。私がダーランマからもらった魔族の血で目覚めた能力は、血を操る力。さっきの頭の傷で出来た血も本当はお前を油断させるためにあのままにしておいた。本当ならあの血は内部に戻せるしなこのように」
バウラムはそう言って、自分の腕を剣で刺し、血を噴出させた。通常の人ならば剣で刺せばかなりの血が出るが、バウラムは自分が刺した腕の血を内部に戻していた。
「お前、人間やめたのかよ・・・」
「そうかもな。こんな不気味な能力、普通のやつならこんな能力はないだろうな。だがこの能力さえあればお前を倒せる、それにこれ結構便利なんだぜ。割と弱点もあるけどな」
バウラムは一度内部に戻した腕の血をもう一度だし、その血を固めて、棘のような形にしてアルダスに向けて放った。
「くらえ、血棘」
ザクっ!とアルダスの足にバウラムの攻撃は命中した。
「くぉぉぉぉ!俺の足をよくも!」
「とまぁこんな風に自分の血を固めて相手に飛ばすことも可能。微量だけどね。大量の血を使うと流石に俺もやばいからね」
バウラムが自分の能力を自慢している間、アルダスは自分の今の状態を確認していた。
(まずいな。腹部は謎の血の杭みたいなやつで穴が空いているし、さっきの血の小さなトゲみたいなやつのせいで片足もやられている。これは王様に使用を禁じられているが、今の状態ではそうも言っていられないな)
ぶつぶつとアルダスが独り言を言って入りは間、バウラムは自分の能力の自慢をずっとしていたが途中でアルダスが効いていないことに気づき、
「おい!人が説明してやっているのに聞いてないとはいい度胸じゃないか」
アルダスはバウラムがそう言った時、バウラムの方向を向いて聞いた。
「なぁさっきの私の戦斧攻撃は効いているのか?」
「はぁ?そんなもん教えるわけないだろう。人がせっかく能力の説明してやっていたのに。親切心を無にする奴は俺は嫌いだよ。今アルダス、お前を闘将という座から下ろし、人生の幕も下ろしてあげるよ」
バウラムは自分の腕をまた手持ちの剣で刺し、血をあふれ出させた。
そして、血の球を作り、アルダスへと向けた。
「これでお前とやっと決着をつけられる。とどめだ!血玉砲!」
アルダスに向けて、血の小さな弾丸が複数飛んできた。アルダスはその攻撃に対して何かをしようとするような素振りをしていなかった。
(諦めたか・・・。アルダスに限ってそんなことはないと思うが。きっと何かするはずだ)
アルダスはなんとバウラムの攻撃を全部受けきった。
「血迷ったのかアルダス防御もせずに全部受けきるなんてよ。それじゃ今とどめを刺してやるよ」
バウラムは血を体の中に戻し、攻撃を受けて倒れていたアルダスのところにまで近づいた。
「・・・そう簡単に人の懐へとくるものではないぞ。バウラム」
バウラムは近くにまでよってアルダスが意識があることを知ると、後ろへと後退しようとしたが、すでに対応が遅かった。
「お前が終わりだ。バウラム、これぞ私の本当の能力」
次の瞬間バウラムは、アルダスの戦斧で体を縦に両断されていた。