カルナクとヴラドリオ・バーラッシュ
カルナクが急いでアルムの屋敷に向かっている間、理人は翌日のための準備をしていた。
「あいつを倒して俺の方が使えるんだということを受付嬢の人に見せなければ。そうして俺が強いとわかればきっといい仕事回してくれたり、頼ってくれたりするかもしれない。くぅ〜興奮して眠れないぜ」
そう鏡理人はただ自分が目立ちたい、頼ってもらいたいが為だけにヴラドリオ・バーラッシュに決闘を挑んだ。理由がすごく最低だった。
「誰になんと言われようが俺はもう能力を使えなかった前の俺とは違う。あのヴラドリオなんて簡単に倒してみせる!」
理人は異能力を身につけたことにより調子にのっていた。なのでヴラドリオ戦も楽勝だと考えていた。そこに屋敷の玄関からドンドンと激しい勢いでドアを叩く音が屋敷に響いた。
屋敷の使用人がドアを開けた。
「どなたですか?今は現当主のアムライ様はいらっしゃいませんが」
「夜分遅くにすまない。俺はカルナクといいます。ここに鏡理人がいると思うんだが」
「はい。鏡様ならいらっしゃいますよ。今呼んできますね」
そう言って使用人は一度玄関から離れて理人の部屋へ向かった。
「鏡さん。お客様ですよ。カルナクさんという方が玄関で待っております」
「え、カルナク?あいつ退院したのか?わかった、ありがとな使用人」
理人の部屋についた使用人は部屋の前でノックして用事を伝えて、使用人は持ち場へと戻った。理人はカルナクが来ていると聞いてすぐに玄関へと向かった。
玄関についた理人はカルナクに話しかけた。
「よう。こんな夜遅くにどうしたんだ?そんな大事な用事だったのか?後先に言うの忘れてたけど退院おめ?」
「なんで疑問系?まぁ昨日の今日だしわかるけど、とりあえず退院した話は今どうでもいいんだ。お前ヴラドリオという男に決闘を挑んだらしいな。ミノから聞いたぞ」
カルナクは自分が退院したことより何故かヴラドリオと決闘すると言った理人のことを優先していた。
「ああそのこと?そだよ。明日ガイアラーの森であいつと決闘するんだよ」
それを聞いてカルナクは尋常じゃない勢いで理人に
「やめとけ!ヴラドリオとの決闘は俺がやめさせるから!ヴラドリオに挑むのだけはやめてくれ!」
「何でそんなこと気にしてんだよ。カルナクには関係ないじゃないか」
「いいかよく聞け。ヴラドリオは亡国の英雄だぞ。今はただの冒険者だが、昔は単騎で敵の名だたる名将を討ち取ってきたほど英雄と呼ばれていた人だ。何でここまで詳しいかというのは教えられないがとりあえずヴラドリオに挑むのだけはやめろ。今から俺がヴラドリオのところへ行って決闘をなしにしてくるからわかったな!」
カルナクはそう一方的に言って、次にヴラドリオのいる場所を聞くために、ギルドに向かった。
理人はなぜヴラドリオとの決闘をカルナクが無しにしたいのかがまだわからずにいた。