杭使いのヴラドリオ
「なんで急にヴラドリオさんに決闘なんて申し込んだの?」
実里は少し怒っていた。勝手に立会人にされた件についてではなく大した理由もなくヴラドリオに決闘を申し込んだ理人に対して怒っていた。
「なんでってそれは俺の方があいつよりギルドに貢献できることを証明する為だよ」
「鏡はそんなにギルドのこと大事にしてたのか?」
理人は首を横に振った。それを見た実里は尚更意味がわからなかった。
「じゃなんでこんな無駄な戦いをするの?わざわざ王が休暇を与えてくれたんでしょ。なら大人しくしていましょうよ。あのヴラドリオさんとやったら絶対ただじゃすまないよ」
「いやこの決闘はひけない。俺はあいつに勝手前までの俺とは違うことをミノにも見せてやるよ。だから安心しな。ほらもう宿についた。明日はよろしく頼むぜ」
歩きながら話しているとあっという間に実里の宿屋までつき、理人はそこで実里と別れてアルムーの屋敷へと帰っていった。
実里は宿に入って、泊まっていた部屋に向かうと実里の仲間のカルナクが部屋にいた。
「カルナク!なんでここにいるの?まだ完全に治ってないんだから入院してないとダメじゃないか」
そう言ってカルナクの方を見た実里は自分の目を疑っていた。なんとカルナクの傷が全て治っていたのである。
「いや悪いねなんか。昨日見舞いに来てもらったばかりなのに。実はダーラスに治療魔法をかけてもらったら完全に傷が治ったんだ」
カルナクはダーラスに治療してもらい、戦線復帰できる状態となった。カルナクは治療してもらったことにより皇国に恩義を感じ、盗賊団のことに手を貸すことを誓った
「実里も治してもらえばいいじゃないか」
「いや多分私の方に来ないということは、私は戦力外として扱われていると思った方がいい。それにこんな足になる可能性のある能力者を治療しようとは思わないだろう」
カルナクは納得していたが、気持ち的には実里のことも治療してほしかったと心の中で思っていた
「明日はどこか行くの実里?」
「明日は鏡が決闘申し込んだやつの立会い人しなきゃ行けないからとりあえず外出する用事はそれだけかな」
カルナクに実里はそう伝えてカルナクは決闘に興味深々で、理人の相手は誰かを聞いた。
「鏡の決闘相手?決闘相手はヴラドリオ・バーラッシュさんだよ」
「ヴラドリオってあの杭使いのヴラドリオか?」
カルナクはヴラドリオの名前を聞いて実里に聞き返した。
「そういうのは聞いてないけどそんな強い人なの?見た目は金髪で黒いコートを着たおじさんだったけど?」
カルナクはそれを聞いた瞬間表情を変えて、実里に理人のいるアルムの屋敷の場所を聞いた。
「え?鏡の泊まっている屋敷?知ってるけどなんでよ」
「なんでよって決まってるだろ。決闘を無理矢理やめさせるんだよ」
そう言って実里から場所を聞いたカルナクは急いで理人のもとへと向かった。