表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

王女様と柚子マーマレード(あるいはただの覚え書き)

さる王国王女の覚え書き。

柚子マーマレードの作り方。覚えておいて損はないけど、計量にお気をつけあれ。

 冬至も終わり、お正月をちゃんと迎えて。

 主な役割を終えたもの。

 そんなもの、探せばいくつもあるのだろうけれども。取りあえず、目についてしまったのだから、仕方ない。

 さる王国の王宮のお庭には、一本の柚子の木があります。ちいさな木だけどそれなりに年を経ているので、今年もたわわに実りました。

 冬至にはお風呂に入れました。お正月に、なますに使いました。お雑煮にも。

 残りは……ここからが、王女様の出番。柚子マーマレードを作ります。

 ジャムと違って、マーマレードは手順が面倒くさいのですが、年に一度と思えば、それも醍醐味。今年も頑張ります。


 柚子は綺麗に埃を洗い落とし、皮が汚いものは取り除きます。今回は五個。

 布巾で拭いて、計ってみると、約二キロ。これは大事な事なので書き留めておきます。

 ここからが、大仕事。

 先ず、半分に切って実と皮を分けます。皮は水を張ったボウルに。実は別のボウルに。

 これは、地味ですが大変な作業なのです。何故って、王宮の柚子は、「花柚子」。本柚子に比べてかなり小ぶりな柚子です。二キロと一口に言いますが、四十個以上あります。

 その後、実の中から種を取り出し、白い筋を取りながら、実を袋ごと切り刻む。これも、それなりに地味で大変な作業。

 そこに通りかかった次女のリッツに、皮が汚い柚子を預けようと思いました。

「これ、使わないから今度お風呂に入れて」

 ですが、リッツは嫌な顔。

「えぇぇ。たったこれっぽっち渡されても困るんですけど」

 でも、残りの奴は全部皮剥いてるし。

「中身だけ、使って下さいよ」

 そんなわけで、中身だけ五個増えました。これ、試験に出るから覚えておいてね。

 えーっと、皮を剥いて。どれだけ増えた? 200グラムぐらいかな?

「あ、王女。これも、これも」

 声をかけた来たのは、王妃様。

「お正月のなますの、ほら、皮だけ使ったでしょ? 中身、一緒に使って」

 もう、五個でも七個でも同じでしょう。

 皮をきれいに取って、種も出して。

 種は、少量の水(今回は100CCぐらい)で煮出します。柚子の種には高濃度のペクチンが含まれているので、お酒に漬けると簡単な化粧水が出来たりしますが、今回は全部マーマレードに使います。

 煮出せたら実と汁に混ぜ。

 さて、地味な作業は続きます。

 皮ですね。大仕事。ひたひたの水で、三度、ゆでこぼし。(沸騰させた後でざるに開ける)

 覚めたら、水を切って包丁で一ミリから二ミリぐらいに刻みます。(種と実を分ける作業よりは、楽)

 やっと、地味に大変な作業が終わりました。

 取り除いたものが、出ましたね。

 不要な皮。筋、種。その重量を量ります。約、200グラム。

 柚子2000グラム、不要なもの200グラム、差し引いた1800グラムの60%の砂糖と一緒に煮含めます。1080……一キロで良いか。

 さる王国では、ジャムには氷砂糖を使っています。純度が高いから、雑味が少ないのだと思います。

 一袋1kgでしょ? 80グラムぐらい、まぁ、良いかと。

 弱火に近い中火で、砂糖が溶けて皮の回りが透明になるまで煮含め、かなり水気が多いけれども、覚めると固まると信じて、待つ。

 はい。冬の寒さで、簡単に覚めました。

 できあがり。

 自信作を口にして。あれ?

 いつもより、酸っぱい。

 マーマレードとして、有りの範囲だけど。何でだ? ちゃんと計ったのに。

「美味しいですよ。今度、鶏のマーマレード煮に使わせて頂きますね。酸味があると、すごく柔らかくなるんですよ」

 リッツが嬉しそうに言うから、まあ、良いか。

 でも、自信のレシピだったんだけどな。

 通りかかった王妃様にも味見してもらった。

「うん。いつもより酸っぱいけど、美味しいよ。さすが、王女」

 やっぱり、酸っぱいんだ。

 なんでだろ。ちゃんと計ったのに。



 正解は、後書きで。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

手間をかけた柚子マーマレードが酸っぱかった原因は、中身が合計7個増えた+砂糖を80グラムケチったせいですね。(反省)

柚子マーマレード、手間はかかりますが、市販品とは違うと思います。濃度が。

ぜひ、お試しあれ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 少しくらい酸っぱくても王女の手作りなら美味しいのに違いさりません。ボクにも分けて貰えると嬉しいです。 まゆさん、今年も宜しくお願いします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ