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親友カメ  作者: 渡辺正巳
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 家に帰ってから、私はカメが怪しい女に連れ去られたことをよほど親に言おうかと思った。しかし、それを話し、「それで、お前はどうしたんだ」と、もし問われたとして、「カメを見捨てて帰ってきた」と答えれば、私が怒られるのではないかと思われ、それが怖くて言うことができなかった。私は連れ去られたカメが何をされたのか気になる気持ちと、カメに対して申し訳ない気持ちを抱きながら、布団の中で転々としてその夜を過ごした。


 次の日、カメはいつも通り学校へやってきた。私は一安心し、昨日先に帰ってしまったことを謝り、あの後どうなったのかカメに聞いてみたが、カメは不機嫌そうに「別に」と答えるだけだった。その態度があまりにきついので、私はそれ以上聞くことができなかった。


 その、怪しい女との出会いのあと、カメはどこかおかしくなってしまった。私に対してかすかによそよそしくなり、何をしていても、ふとした時に、真っ白い半紙に墨汁を一滴垂らしたような、ある種の暗さが、彼の態度ににじみ出るのだった。私はそれを、カメと一緒にいる時に感じることができた。例えば、二人して学校から下校している道すがら、テレビ番組の話などをしている時に、ふっとカメは話の途中で黙り込んでしまったり、私とカメと他数人の友達とで学校でドロケイをして遊んでいる時、刑事役のカメは、泥棒役を追いもせず校庭に立ち、ぼうっとしている瞬間があったりした。


それから、これもやはりあの女との出会いの後のことになるが、カメは私からの放課後の遊びの誘いを、しばしば断るようになった。いくら仲が良くても、毎日毎日、一日も休まず一緒に遊ぶわけにはいかないから、それまでもお互いに誘いを断ることはあった。しかし、女との出会いの後は、その断る理由が、「今日はお父さんが早く帰ってきてるから」などという、なんとも腑に落ちないものなのだった。


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