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87、ふたりを描き出すパズル・3




12時を回った居酒屋 SHOCHANは、



親戚とのパーティーを終えた客も なだれ込み、


盛り上がりは、2度目の最高潮。





クリスマス用の着ぐるみや、


いつもギラギラの ドラァグ・クイーン、



詩人も、ホームレスも、弁護士も




流れるラテンのBGMに 合わせて踊り、



音階の合っていないピアノを 弾いては歌い、





もはや店内は マンハッタン中の、


あらゆる人種でハチャメチャだ。





それはショウゴを慕うものが、


年齢、性別、国籍、職業、宗教などなど



あらゆく垣根を、ブッ越えているコトを 示してた。





みな、ここが宇宙の中心であるかのように 


自然と 集まってくるのだ。





そこココで捕まっていたカイも、



やっとプレゼントを、配り始めたところだった。





「グラシャス グラッシャ~ス!」





フルーツグミをプレゼントされたエンリケが、


なめらかな腰つきで ダンスの輪に入り



色とりどりのグミを、


ひとつひとつ中空に 放り投げると、



イカレたダンサー達が、それを口でキャッチする。


 


店はヨッパライと


大音量の笑い声で、ハチきれんばかりだ。






「ヒナっ?!」





そのドンチャン騒ぎの真ん中で、


聞きなれない声が、カイを呼び止めた。




驚いて振り向くカイの前に、



ズカズカと近寄って来る


見知らぬ日本人らしき男は、満面の笑みだ。






「ヒナっ!  なんでこんなトコに!!


ゲンキだっ・・ ・た・・か・ 


  ・・っと  アレ?」





目の前までやってきた男の笑みが、


みるみる困惑に 変わってゆく。





「あ、 男・・? 

す、すいません人違いで・・


ソーリーソーリー」




「うふふっ やだわ、洋一ったら!」





酔いの回った マシュマロジェシーが、


彼の後ろから、ピョコンと顔を出した。





「 ・・・彼、


ジェシーの知り合い? 」






このNYで、ヒナを知る者が


ショウゴの他にもいたとは。




カイも充分戸惑った。




しかも、彼はヒナの死を、知らないらしい。




心が、その奥深くから 


ざわざわと騒ぎだす。





「日本に留学してた時の 友人なの。


クリスマス休暇で、遊びに来てるのよ。」





「あ、はじめまして 洋一です。


・・ スイマセン、

貴方が 友人に似てたもんですから」





右手を差し出してくる洋一に、


カイは反射的に笑顔を作って、応じていた。





「・・ヒナの 友達だったんですね。」




「えっ?」




「ヒナは、ボクの妹なんだ。」





洋一は電飾のチカチカの中で、


カイの顔を、まじまじと見直した。





骨格が大きめだが、



涼やかな目元や、まとっている空気感が


ヒナによく似ているのだ。





「ああ、どうりでぇ!」





やらかしてしまった相手が 


懐かしいの友人の 兄であるとわかり、



洋一はホッと、顔をほころばせた。





そして、騒がしいこの店内で


ヒナの名前に反応したものが、もう1人。




赤鼻トナカイのマスクを被った、キヨポンである。





彼は、先ほどのキースからの電話で 店に戻り、



フルフェイスのマスクで 変装をキメ込んで


つかず離れず、カイを追っていたのだ。





肩から下げているショルダーバックに


隠されたビデオカメラと、




執拗にカイに向けられている、


トナカイマスクの下に 隠された耳。



もはや立派な、パパラッチ。






――ヒナの知り合いだって? 


超~~ラッキーじゃん!


頼むぜぇ~ なんかオモシロいネタ

振ってくれよーー!






店内のドンチャン騒ぎで、さすがに音は拾えないが、


せめて肉声をのがすまいと、



赤鼻トナカイのキヨポンは、


さり気なく彼らに 近づいた。






「ヒナは元気ですか?


あの日、救急車で運ばれて以来

誰も 連絡取れなくなっちゃって、


俺たち、スゴイ 心配してたんスよ!」





カイは息をのんだ。




急に 店内の雑音は消え失せ、




そのカオに貼り付けていた 微笑みも、


すうっと潮が引くように、なくなった。




心臓が、激しく鳴り始める。






「あの日って・・・  


キミ、 ヒナがケガした時 一緒だったの?!」




「そうです。  

ホントに 災難でしたよね」





鼓動が、ますます荒ぶった。





ヒナが、死んだ夜の事。



その届かない真実の 謎を解くカギを、




この青年は


持っているのかもしれない。






「・・どんな風に・・ ケガしたか 


  し、 知ってる・・?」





聞くことを怖れながらも 


聞かずにいられない問いを、




カイはやっとのことで、口にした。





「えっ・・?


 知らないんスか・・?」





カイとの間に生まれた 妙な空気が、


洋一の不安をも、あおる。




ヒナの容体は、思っていたより


深刻だったのかもしれない。




ジェシーは、コトの次第が飲み込めず、


2人の顔を、おずおずと見比べた。






まるでここが、宇宙の中心であるかのように



カイとオウジを描き出す


パズルのピースが




集まってきていた。






---------------------------------To be continued!



このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。

なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。

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