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81、ヒナの足跡・2





まったり~~。  



どんより~~。





こちらもまた、そんな言葉がピッタリの13丁目、


居酒屋SHOCHANである。







「おおお~~い!

みんなどうしちゃったってーのさ?!」





ランチを食べに来たキヨシが、


思わず 従業員たちにハッパをかけた。



それほど今日は、みんなグダグダなのだ。





キースは 寝ぼけ眼でやる気ナシ、


ショウゴは イスに座って休憩ばかり、



エンリケは 何度もオーダーを間違える。





こんな時に頼りになる女性陣は


ディナータイムのシフトのため、誰もいない。






前日の、オウジのヘヴィな即興ライブの後遺症が、


まだ彼等の体に 残ってるのだ。






それでなくても節操のない、この店に


ハデハデの クリスマスイルミネーションが加わって、



余計に彼等の、盛り下がり度とのコントラストを 


浮き上がらせた。







「今日はイブなんだぜ? 

もっとパシッとしなきゃ、パシッとぉーー!」





逆にキヨシの方は、この頃、人が変わったようである。





以前はもっと のんびりタイプだったのに、



NYヤンキースの帽子から


やる気オーラが、後光のごとくツキ抜けてるのだ。






「わかってるわよぅ~~

 

だから、夜に備えて

エネルギー蓄えてんじゃないのぉ」






ショウゴが情けない声を出し


カウンターのイスから、ヨロヨロと立ち上がった。






「アタシ、ちょっと家に帰ってひと寝入りするわ。 

あと頼んだわね、キー坊」




「えっ・・! ズルいよショウちゃん・・」




「だってぇ~、昨日はコーフンしちゃって眠れなかったし、


腕は痛くて上がんないし~ぃ。


でもホラ、


今夜のためのケーキ、150人前こさえたんだから、

エライでしょっ?!


じゃあヨロシクねーーっ」






そう言うが早く、


ショウゴは店の裏口から、小走りに逃げていった。






「あっ、ショウちゃ~~ん! もうっ!」





「・・何かあったの? 

ショウちゃんだけじゃなくって、みんなヘンだけど?」






そう問いかけるキヨシの眼を、


キースがじっと見つめ返す。






「うううう・・・」





言いたくて仕方ない。




昨日のオウジの天才的な演奏が、


どれほどスゴかったのかを、



すべての人に話して回りたい、


黙っておれないキースである。





なのに、あろうことか 


この目の前にいる キヨシにだけは


言ってはいけない運命なのだ。




これは、ウワサ話が


生きがいのキースにとって、もはや拷問。







「ちょっとそのぉ・・・


変わったお客さんが来たデスよ アハハッ」




「変わった客?」






キヨシのアンテナが、ピンと反応する。




―― オウジ関連のネタか?







「それはそうと・・ 

何かワカリましたカ? カイのシスターの事?」





キースが意味深な小声で、すり寄って来た。



2人だけの秘密と言わんばかり。





――ちっ・・ 


話をそらしてきやがったか ・・仕方ねえな。

 






まあいいや。


ショウゴはいなくなったし、


他にいる客も、西洋人だし常連でもない。




丁度いい、ネタ交換のチャンスってもんだ。







「実はさ、カイの妹の名前がわかったんだ。 


ヒナって言うんだって」





「HINA・・?」





「ショウちゃんから、話聞いたことある?」





「ノー、ショウちゃんは

カイのぷらいべーとは、いっさいシャベリまセン。


“美少年の味方”デース。」





「そっか・・・」






キヨシは、ランチに選んだオムライスに


ケチャップをダバダバかけながら、



添えてある フレンチフライポテトをつまんだ。






「彼女の死については、


調べても調べても マスコミ関連からは

全く情報が出てこないんだ。


やっぱり、作為的に消されたとしか 考えられないよ」





「へえ・・?」





「でも、ヒナの友人関係を当たらせて、

ちょっとオモシロいもんが出て来たぜ?」



「な、なんデスか?」






キースは営業中にもかかわらず、


カウンター席の キヨシの隣に腰かけた。






「カイとヒナは、もとは仲のいい兄弟だったらしいのに、

中学生くらいからは、仲たがいしてたそうだ」





「オゥ、多感なティーンエイジャーですね!」





「まあ、男女の兄弟なんだし

いつまでも仲良しってワケじゃないだろうけどさ。


むしろ犬猿の仲ってくらい?」





「ケン円・・ノ中? 」





「ああ、敵対してる関係だって事さ。」





「なぜデスかね?」






キヨシがキッチンを、チラリと確認する。



今日は、お目付け役のリカもいない。







「ちょうど、その頃カイが

11代目寿三郎の名前を、襲名してるんだ」





「ナルホド、ヒナは女だからダメだったデスね?!


それで、ケンカ・・?」





「そうそう。 

それ以来ヒナは、あんまり家に寄りつかなくなっていったんだ。


ワルイ仲間と遊びだして朝帰りしたり、


結構ハデにやってたそうだぜ?」





「オゥ~、カイのシスターなら美人デスよね~」





「そうなんだ! 

地元や贔屓筋の間じゃ、あまりにも有名な美少女だったってさ。


その美貌を生かして


ヤクザの親分と 援交やってたとかって、

ネタもあったな・・」





「エンコ―・・?? 何デスか?」





「ああ・・っと ノーノー、こっちの話!

  

やべえ~、こんな話ショウちゃんの耳に入ったら、

ダウンタウン 出入り禁止んなっちゃうぜ・・」






キヨシは、オムライスをスプーンで数回、


口に放り込んだ。





「でも彼女、

ドラッグやってたってウワサもあってさ~」





「ド、ドラッグですか? 

カイからはとても想像できマセンね! 


ニホンで、そんなにカンタンに手に入りマスか?」





「行くトコに行けばね。 

こっちは本当かもしれないな。 


なんか、ロックバンドにハマって

ライブハウスにも入り浸ってたそうだし」




「ロックバンド・・・?」






---------------------------------To be continued!


このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。

なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。

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