62、雪色のスポットライト・2
「ぎ、 銀髪っ?」
キヨシは焦った。
カバンの中に隠し持っている、カイと
銀髪少年の ビデオ映像を
見透かされたのかと、ゴクリと唾を飲み込んだ。
いやまて、そんなハズはない。
「な、なんの事すか・・?」
とっさにトボケてみる。
「キヨシ、あのオカマの店で見た銀髪小僧、
ドコにいるか わかる?」
キヨシは胸の中で
心臓が大きく波打つのを 止められなかった。
ヤバイ、やっぱ
カイの取材をしてるコトが、バレてるか?
「銀髪ぅ~? そんなヤツいたかなぁ・・」
「この写真を見て頂戴」
「ぅあっっ・・!!」
思わずキヨシも叫んでしまった。
そこに映っているのは紛れもなく
たった今まで自分が後をつけ、
カメラに収めていた男なのだ。
髪は黒いが、
この鋭い光を放つ 黒曜石のような瞳は
間違いようがない。
キヨシは無意識に、
自家用ビデオカメラの入っている
ショルダーバックを、手で覆った。
「コイツよ! リ・オウジ。
ね、見た事あるでしょう?」
――リ・オウジ・・・!! コイツが?!
ずっと捜していたオトコが
まさか、こんな近くにいたとは。
しかも、今追いかけている被写体と
ツルんでるだなんて。
偶然というにはあまりにも 運命的な組み合わせに、
キヨシは呆然とした。
真由美の視線が 何かを察知して、
キヨシの様子を伺っている。
「そ、そういえば こんな顔・・
見たような気がしますね? ハハッ」
目をそらせたその先の壁に、
この東松TVもスポンサーになっている、
嘉川一門の NY公演のポスターが貼ってある。
その真ん中で、こちらに見栄を切っているカイの父親と、
キヨシの目があった。
――歌舞伎界の若手貴公子が、
NYで逃亡中のシンガーと ツルんでる・・?
しかも、相手は未成年でジャンキーって・・・
コレ、めっちゃオモシロイんじゃねー?!
思いもよらぬ展開に、キヨシの胸が躍った。
もしあの2人がデキているなら
日本の大衆誌が 飛びついてきそうなネタである。
NY公演にちなんだ 嘉川一門の特集番組で、
その子息であるカイの
NY私生活ネタがボツになったとしても、
こっちならワイドショーでイケそうだ。
ここで美津子に、手柄を取られるわけにはいかない。
キヨシは渾身の力をこめて、ポーカーフェイスを装った。
「任してくださいよボス!
ヘタに騒いで逃げられないように、
オレがこっそり 探り入れますから!」
「・・そうね。
ヘタに追い詰めるより、居場所さえ把握していれば
泳がしておいた方がいいかも。
頼んだわよキヨシ」
真由美は、写真の中からニラんでくる
小ナマイキな小僧の鼻っ柱を
紅い爪ではじきながら、言った。
---------------------------------To be continued!
このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。
なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。




