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4、フライデーナイト・1





――どこでもイイ


まずは夜を 明かせる場所だ。


  明るくなったら 

安い宿でも 捜せばイイ・・。






マンハッタンの土地勘は


全くないオウジだったが、



どんなトコでも、どうにかなるという


根拠のない 自信があった。




幼くしてあちこちの街で 暮らした体験が、


その胆力を生み出してるのだ。





マンハッタンの道路網は、


碁盤の目のようだ。




地図上の横に走る通りを 何丁目ストリートと表し、



ダウンタウンに 南下していくほど


数字が小さくなる 。




縦に走る通りは 何番街アヴェニューと表示し、




5番街を中心に、



左側がWで表す ウエストサイド、


右側がEで表す イーストサイドだ。





オウジの乗った6番トレインは、



マンハッタンのイーストサイドを



33丁目、28丁目、23丁目と、


どんどん南下して行った。






――どっか オールナイトの店でも探すか。


金曜のフライデーナイトだし、

ダウンタウンなら そんくらいあんだろ、フツー・・。






オウジは降車する人の多かった 14丁目で、


とりあえず、列車を降りてみた。





地下鉄の階段を上がって 地上に出ると、


夜はしんしんと 深さを増している。





さらに南下した凍てつく空に、



ワールド・トレード・センターの ツインタワーが


突き刺さるように そびえ立っていた。






「うおっ・・・!」






絵葉書やポスターで、何度か見たことのある


マンハッタンの象徴が、



今、オウジの前にある。





110階建て、417メートルの


やけにデカい建造物が 二つ並んで立っていた。




スケールデカイ。 


何もかも。






「あそこが 

マンハッタンの 外れなのか・・・?」






ふうっと 息をひとつ吐き


オウジはオレンジ色の街頭に、照らされた夜の街を


歩き始めた。





ミッドタウンにいたのは つい数分前、


距離でいえば 5キロ程度だろう。



なのに





――  ・・・ 違う・・・・!





ここは、空気が ハズんでる。





グランドセントラルで感じた


ピリピリとした トガった空気は


何処かへ消え、




何かが、



見たこともない形になっていくときの 



心躍る 躍動感。




そんな波が、この街には満ちていた。






    体中の細胞が




    オウジの中で 



     反応する。







この空気を つかんだら

 


聴こえてくるのかもしれない。





聴こえなかった音が、 




音楽が。







ふいに右手を、伸ばしてみる。






――  んなわけねぇか・・・。







シンガーであり、ソングライターでもある彼は


もう随分、曲が創れずにいた。




答えを確かめることが怖いから。




オウジは 心の耳を閉じ


そっと右手を下ろした。





だが、オウジの中で 何かが小さく、


そして確実に 



動き始めている事も、カンジてた。





―― ただ美津子のヒステリーで、


 この街に飛ばされたんじゃ

   ねぇかもな・・・。






見えない引力が 


自分を ココに引っぱり寄せてる。



きっと何かが起きる。





そんな運命的な予感が、 


オウジの胸を 波立たせる。





「んん~なわけねぇし・・!」





今度は、声に出してみた。





お目当ての ナイトクラブはみつからない。





寝静まっていそうな


アパートメントが立ち並び、



わずかにある飲食店も シャッターが閉まってる。




酒瓶を抱えたホームレスの男が、


ゴミ箱の横に 寝そべっていた。





――ダイジョブかよ、 あのオヤジ・・・






この寒さの中で、迷ってるヒマはない。 


明日は我が身ってコトだよな。






オウジは、


人通りのありそうなエリアへと急いだ。





凍りそうな指先を


ポケットに突っこんだまま、



何ブロックか移動すると、




ようやくまだ、店の灯りがついている通りに出た。





金曜の夜を楽しむ 住人や観光客が、


けっこうな人数 往来してる。




通り一本で、まったくフンイキが違うのが


ダウンタウンのオモシロく、アブナイところだ。




オウジは一軒の


カフェ&バーの看板を見つけた。





ちょうど木製のドアを開けて、


数人の男が 帰っていくところだ。





ドアの隙間から、ジャズの生演奏が聴こえた。



まだ、店を閉める気配はない。





どんなジャンルであろうと


音楽という音楽には 触れたくない心境だが、


この寒さじゃ、しょーがない。





オウジは古びたドアを開け、


店に入っていった。







--------------------To be continued!



この物語の設定は、1980年代。

また、作者本人により「イースト・セブンス・ストリート~NYの夢追い人~」のタイトルで、以前アメブロに掲載されていたものです。

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