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33、美津子の刺客・2





「ど・・どうしたの・・ その・・」



「えへへっ 似合うだろーー?」






自慢げに笑うオウジの髪は、


シルバーアッシュに染まっていた。



ちょうど帰ろうとした真由美とキヨポンが、


オウジの横をすれ違う。





真由美はすれ違いざまに オウジの目と目が合い、


そのまま足を止めて オウジを振り返った。




彼女のギョーカイ人の嗅覚が、



オウジのオーラを 嗅ぎ取ったのだ。






―― 印象的な  黒い瞳・・?




――ンだ?このババア・・ ガン付けやがって!






オウジも、真由美と絡んだ視線をそのままに 振り返る。



そしてその女ボスの背後から、


今度は、豹柄のロングコートを着た カイが現れた。






「あ、あっら~~~っ カイちゃん!!

すてきーーーーーっ」





ショウゴが店中に轟く、キイロい声を出し、


店内の注目を 一気にカイに引き寄せた。




そしてオネエ走りでやって来て


オウジとカイの腕に、しっかと手を絡める。






「ど~したのぅ~? 豹柄なんて着ちゃってーー!?

野獣系ーーっっ!!


ささ、こっち こっち! VIP席よぅ~」






この時オウジは、買ったばかりの桜色のセーターと、


カーキ色のコート。



そして、その服ごと ショウゴの大きな背中によって


真由美の視線から隠され、



2人は店の一番奥へと、連れて行かれた。






真由美はコートの裾を翻すと


キヨポンの開けたドアから 颯爽と出ていき、



キヨポンが、そのあとに続いた。





「ふ~~~~~っ・・・・」





店中の従業員が、大きくため息をついた。





「な・・なんだよ? 


ホスト系のカイが そんなにショックかぁ?」









1番街の大通りでは、


キヨポンの捕まえた イエローキャブに、



真由美が 乗り込んだところである。





「じゃ、オレは もーちょっと遊んで帰りますんで」




キヨポンがタクシーのドアを閉めると、


女ボスが 窓を開けてカオを出した。





「あのショウゴってオカマ、食えないわね。


腹の内が読めない タヌキ親父だわ」





気さくな営業スマイルは消え、


爬虫類マナコが その光を取り戻している。






「そ、そうすか?」



「キヨシは、あの白人男とは仲がいいの?」



「キースの事かな? まあ・・普通には。」




「あのジャジャ馬白人オトコは使えそうよ、

ちょっとツツいてみて頂戴。


案外何か出てくるかもしれないわ」





「わかったっす じゃ、これで・・。」





キヨシは走り出したタクシーの 後姿を見送って、





「やれやれ 楽しく飲むための店なのに・・・」





と、ため息をついた。









「まったくもうっ イヤミな客だったわ!! 

二度と来るな 二枚舌のヘビ女っ!」





ショウゴは真由美の座っていたイスに


鹿児島産の芋焼酎を 指先でまき散らした。



ショウゴ的聖水での、お清めである。





一難去った店の奥では、


何が起きていたのかを 全く知らないオウジが、



常連客たちとカイに、


ホストの真似ごとをさせて ゲラゲラ笑っている。






「ショウちゃん、どうすんデスカ? 


さっきの人に、教えないツモリですか?!」





キースがオウジを、目で指した。





「シッ!」





ショウゴはカウンターの中に戻ると、


キースとジェシーの肩を、ぐいっと引き寄せた。






「・・逃げてきたってことは、

あの子なりに ナンか事情があるハズなのよ」





「私もあの女ボス・・なんだか苦手だわ。


でも、日本の方も心配してると思うし・・

黙ってるのはどうなのかしら?」





「フンっ、アタシはね、


相手を見てコロコロ態度を変える、

あーいうオンナが いっち番嫌いなのよっ! 


しかも、ロックグラスでタバコを消すとは、

なんてブスっ!!


誰があんなオンナに


可愛いオウちゃんを売ったりするもんですか!」





「でも・・カイは  大丈夫かしら・・」





ジェシーは、


オウジと初めて会った夜を 思い出していた。




あの時、オウジに落とされそうになった自分は、


今思えば、やっぱりどう考えても不自然だ。




そもそも、優等生街道まっしぐら、


まるでシャレっ気もなく、


女としての自信もないジェシーは




男性からのアプローチも、


卒業式のダンスパーティーどまり。





オウジみたいな若い男の子と


出逢ったその日に、キスしそうになったなんて



耳まで真っ赤になるほど、愚かしいではないか。






視線の先にいるカイは、


オウジの銀色の髪を、指に絡めて


いつにも増して楽しそうだ。




2人のじゃれあう姿を見て、


ジェシーの胸がチクリと痛んだ。






「なんだか、急接近しすぎていない? 


あの人がいったように、

カイもオウジに 利用されてるんじゃ・・」





「ダイジョブ、ダイジョブ~~! 

カイちゃんの目に狂いはないわよ。

 

アタシはカイちゃんの 元カレも 元カノも

全~部知ってるもの!! 



類友っていうの? みーんなイイコ達で 


アッハハ 中にはえーーっ?って

へちゃムクレなのもいたのよ、


でも、心は妖精ちゃんで、さっすがカイちゃんねって!

 

あら、・・・おかしいわね、


なんでココロはアフロディーテなアタシが

入ってないのかしらぁ?」




「ショウちゃん、話がズレてるわ!」





ジェシーが珍しく声を荒げ、自分でもハッとした。


 


このイラ立ちが、何を示しているのか


自分でもわからなかった。






「すごいデスねー 

100ドルなんてチップ、見たことないデスよ~~!」





キースが偽札でも調べるように、


お札を電球に向けて 透かしている。





「フン!金でどーにかしようなんて、いい根性だわ! 

もらっとくけど。


いい?  アンタ達もあのヘビ女に

余計なこと言うんじゃないわよ!」





太ったウシガエルが、ヘビ女に負けじと


キースとジェシーに ニラみを利かす。





「おいショウゴ~ 腹減ったーー!

メニューくれよ」





コッチは、髪を染めてゴキゲンなオウジ。





「はいは~~い ただいまーー! 


ショウちゃんはどんな時も

美っ少年の味方よぅ~~!」






VIP席に向かって


スキップしてゆくショウゴの後姿に、



ジェシーとキースは、無言でカオを見合わせた。







--------------------To be continued!


このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。

なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。


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