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28、ボクだけが見る黒曜石・1




天井に取り付けられている、


木製の4枚羽の ファンが回ってる。






―― ココ 

 知ってる・・・


うっすら香る この樹の香りも 覚えてる・・。



・・・そうだ、ココは 


クソ甘野郎の  部屋の天井だ・・






寝起きのアタマが、今日は妙に冴えている。




久しぶりによく眠れて、


スッキリ気持ちよく寝返りをうった後。



オウジはベッドから、跳ね起きた。





「うわあああッッッ!!」





すぐ隣に、


カイの端正な寝顔。





「なな、な、なんでココに・・!!」





と、言ってはみたが ここはカイの部屋なのだ。



あきらかに自分の方が、


この場にふさわしくない。






「んン・・?

・・モーニン・・  もう起きたの・・? 


早いね、ハニー・・」




「モーニン ハニー て・・。」






早い時間帯なのか、否か。



窓の外に見える空は だいぶ明るいが、


この部屋のドコに 時計があるのかを、



オウジは、まだ知らない。




まぶたを閉じて


もう一度、眠りの世界に帰って行くカイの顔。




寝ボケてても 髪がグシャってても


美形は美形なんだ。



とか感心してる場合じゃねーよ、オレ。





栗色の 髪のすき間から、


首すじの 青い龍のようなアザが、




今日もオウジの、気を引いてくる。






「・・ボクは まだ起きれないよぉ


・・オウジ君 

激しかったから・・・」




夢心地の 甘い囁き。





「はぁああああああ~っ!!?」





イカレ野郎のたわ言だって、わかっていながらも。




――ティ、Tシャツとジーンズは着てる!

着衣に乱れナシ! 

コカンも・・これと言って異変ナシ!

コイツも・・ちゃんと服着てるだろ!

ティッシュ無し、ザーメンナシ!!

OKだ、オレはシロだ!!!シロじゃねーかよクソ野郎っっ!!!






「 覚えてないの・・? ヒドいなぁ 


ボク達、あんなに深~~く交わったのに・・ 」




「バあッッカじゃねーの!! いつオレが・・っっ!!」




「昨日だよ? ショウゴさんの店で」




「シ、ショウゴぉ~お?」






うっすら湧き上がってくるイヤな汗を、


きっぱりムシして


記憶のサバクを ザクザクと掘り起こす。





――ンっなハズあるか! 

オレはいたってノンケだし!!

・・・いくら酔ってたって・・


酔って・・  



    え・・ 。



・・ショウゴの店?・・・ ?  ?  ?!





やっべえーー  



途中から 記憶ねーーー・・






胸がヒンヤリ冷たくなり、


自信の柱に  ピシリと音をたてて、亀裂が入った。





今までだって、記憶をなくして


知らない部屋で 目覚めたコトくらいあったけど。





―― でで、でも、その時横にいたのはちゃんとオンナだ! ダイジョブダイジョブ。

ん・・? ハダカの貴章がトナリにいたことはある・・ な・・? 

イヤイヤイヤイヤ、その時もオンナがいたし! 何人もいたし!!乳デカかったし!!

いや、ちっせーのもあったけど、ありえねーーし、絶っ対にオレはホモとかじゃねーし!!





「 ふ~ん・・・ 」





アタマが、高速しどろもどろ回転になっているオウジを、


カイは枕にうつ伏せたまま、



甘い瞳で 見上げてる。





「まんざら、

そういう体験が ないワケでもないんだ・・。」




「ねーよッ バあーーカ!!

オレがヤったのはランコーで、ホモじゃねんだよ!


ジョユーの卵とかモデルとか、そんなんが一杯いたんだよ!

どーーだいーだろ、ザマーミロ!!」




「プッ・・!

アッハハハッ!! 女優と乱交してたんだ~~?


正直だなぁ~~ オウジ君  

ア、アハハハッッ!」




「クソっ・・!」





笑い転げてるイカレ野郎は 放っといて、



赤くなったカオなんか見られないように


オウジはキッチンへ、一時撤退。





そして冷蔵庫から 2リットル入りの


ミネラルウォーターのペットボトルを出すと、


ガブガブとラッパ飲みした。




口の端から、イキオイ余った水が こぼれ落ちる。





「 あ・・・! 」





一瞬動きの止まったオウジが、


いぶかしげにカイを振り向いた。





「 もしかして  アレ・・? 



アンタのグラフィックと、オレのハーモニカの・・


昨日のコラボの事、言ってんの?」





「そうだよ?  

・・ナンの事だと思ったのさ?」





確信犯な、ヤツの微笑み。





「ややこしー言い方すんじゃねーーよ!

クソ甘野郎っ!! 


だいったいオレをアンタの隣に寝かすな、

ヘンタイっっ!!」





キッチンカウンターの上にあったティッシュ箱を、


クソ甘野郎めがけて、投げつける。





「ボクじゃないよ、  

ショウゴさんが ベッドに下ろしたんだ」



「なんでショウゴがっ?!」




「オウジ君が店で寝たまま 起きないから、

おぶってきてくれたんじゃないか~。 


ホントに何も覚えてないんだね?


あ~~、もう 目が覚めちゃったよぉ・・」





カイも、しぶしぶベッドから起き上がった。






「いてて~~  全身筋肉痛・・っ」




「ぐはっ、だっせー! ジジィなんじゃねーーの!」




「オウジ君が あんな音出すからじゃないかーー

なんか、気持ち良くて ノッちゃってさ・・。 


相当~力まかせに動いちゃってたんだなーー  


イテェ~~」




「オレはシャワー使うからな! 

覗くなよ、ホモ!」





「だから、バイだって。


覗かなくても、キミの体の線くらい

服の上からだってわかるよ、ハニー。

 


168センチ~ 55キロ~  


上から、83 ・・65・・・87 

ってとこかな? 



なんなら裸体画、描いてあげようか?」





「いらねーよっ!バーーカ!!」





カイの余裕の笑顔に、中指を突き立て


オウジはバスルームに向かって 歩き出した。




―― 怖えーーー・・っ 

マジでスリーサイズまで合ってんぞ・・!

 

アイツ、

・・オレのプロフィール 見たワケじゃねーよな?





しかも、美津子が作ったプロフィールでは

オレは身長170になってるのに。



ヤツは2センチ足りてない事までお見通しで、


そこにまた、超ムカついた。






初めて入る この家のバスルームは、



セルリアンブルーの模様が描かれた、


白いタイル張りの壁に、



シルバーのシャワーが


高い位置に備え付けられていた。





プールでよく見るようなデザインの


大っきめのシャワーと、



ところどころにヒビのあるタイルから言って、


けっこうな年代物らしいが、



それがレトロでいいカンジ。





打ちっぱなしのコンクリートの床に、


白いシンプルな バスタブもイイ。




久しぶりに浴びるシャワーは熱くて、


すこぶる気持ちがよかった。






―― いったいオレ、


何日 シャワー浴びてなかったっけ・・?






めまぐるしいNYの日々に、


めまぐるしく変わっていく、ヘンな自分。





熱いシャワーの滴の、一粒一粒までもを、


オウジはカンジるような 気さえした。






キッチンではコーヒーの、香ばしい香りが漂い始める。




まだ半分寝ぼけているカイが、


コーヒーメーカーで作ったアメリカンコーヒーと、



ミルクパンで温っためたミルクで


カフェオレを作っているのだ。






「タオル、ドアノブに掛けておいたよ~!」





シャワーの音が止まった、バスルームに向かって


声をかけると




「うん」




なんて、返ってくる意外にもスナオな声。



カイがクスリと笑った。





キッチンにだけ、小さな置き時計が一つある。



時間帯は 昼下がり。





白い大っきなバスタオルで


濡れた髪をふきながら、



オウジは、ブラックジーンズ一枚で戻って来た。




ジャラジャラと付けまくってた、


デンジャラスな チョーカーやネックレスは無くなって、



7つのピアスと


2つの指輪だけが、彼の体に残ってる。




今日のこの部屋のBGMは


軽いボサノヴァだ。






「うん、やっぱり思った通りだ。」



「見るなヘンタイっ」




「オウジ君は細いけど、筋肉がしっかりついてるね。

スキだな、そのライン。


あ、クローゼットの中に ボクの服がかかってるから、


どれでもスキなの 使いなよ」







--------------------To be continued!


このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。

なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。


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