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24、カイとヒナ・3




どうりで。




オウジの中で、宙ぶらりんだったギミン符が、


消化されて 腑に落ちた。





たおやかな物腰の中にある、凛とした存在感。



どこから見ても絵になる スキのなさ。





それがどれ程の伝統に 支えられているのかを


オウジには知る由もないが、




幼少の頃から 叩き込まれ、


磨き上げてきたものであることは 



同じ表現者として、理解できた。





――そのアクターが

なんでこんなトコで・・ 


街にグラフィックなんか 描いてんだ?






そういえば、オウジはカイの事を 何も知らない。




カイも、オウジに何も聞かない。






――アイツが知ってるのは、

 オレの 名前だけだっけ・・。





どこから来たのか、何人なにじんか、


年はいくつなのか、



何をしてるのか。





まるで、何も知らないこの関係性を


楽しんでるみたい。






「オウジ君の 音の中で描いてると、

違う自分になったみたいだったな」





体に残っているオウジの音を、まだカイはカンジてる。





「そういえば、カイには珍しく 

鮮やかな赤が ベースだったわね。


カイの作風というよりは、


オウジの音楽 そのものみたいだわ」





ジェシーもうっとりと、


先ほどのパフォーマンスに 想いを馳せてる。





―― カイの描いた絵は オレで  


  オレの音楽は 


       カイ・・?






一気飲みしたワインと、店に漂うスパイシーな香りが


オウジの中で ぐるぐる回る。



体が、じんわりと暖かい。





ちっぽけなオウジの焦りも プライドも、


この怪しい匂いの 空間の中に溶けてゆくよう。





マブタが、重くなってきた。





オウジは手に持ったままだった 銀色のハーモニカを、


コトリとテーブルの上に置いた。




ふと、ハーモニカに刻まれた


「HINA」の文字が目に入った。





―― ヒナ・・?  なんだったっけ・・






「オウジ! カイの天使を見ましたカ~~?」






オウジがマブタを閉じる一瞬前に、


キースがにじり寄ってきた。



好奇心るんるんの目。





「えっ・・天使?   ああ、・・見た」




「どこの見ましたデスカ?」




「ドコって・・・ わかんねえけど、路上の・・? 

デカい空に浮かんでるやつ?」




「オウ! 8チョーメの曲がり角デスね!

アレもスバラシです~」




「そんなにたくさん 天使の絵があんの?」





「ワカリマセン。

ダウンタウンのあちこちに、カイの天使イマス。


噂では100もアル言われてマス」




「100ぅ?」






キースは、カイがジェシーと


話し込んでいるのを確認してから



オウジに顔を近づけ、声を小さくした。






「アナタ知ってますか?  カイと天使の関係。」




「ああ?」




「天使のカオ、みんな同じなんデス。

なぜかストレートの黒髪で 東洋人のカオしてる」




「だから、・・何だよ?」




「フシギです ミステリーで〜す! 


フツウ、天使は西洋人のカオでしょ?



カイの天使は、カイの理想のジョセイだって

スイリするヒトいます。 


似てるから、きっと母親だってヒトいまス。



でもボクは思いマス。


あれは カイの恋人デス!」





「 ・・恋人 ? 」





その時、目の前のハーモニカに


オウジの視線が 引き寄せられた。





――そうだ、ヒナは 天使の名前だ。 




   月の女神・・!






「オウジ、どう思いマスか? 

100人も描いてるデスよ!?



ボクハ、思います。


きっと、忘れられない 恋人デス。」








--------------------To be continued!


このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。

なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。


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