21、オウジの情熱 カイの夢・2
オウジはいつしか
フカシギな感覚に とらわれた。
大きな
なにか とてつもない大きな、
暖ったかいモノが ある。
とても安定した
静かな 確かな
ゆるぎなく 大きな。
それが、こんなに跳ねて飛んでる自分とも
ビタッと合っているような。
―― ナンだ これ・・。
・・この感覚・・?
音のささやかな変化をも カンジ取って、
カイの空は さらに色彩豊かに、
そしてオウジの音楽もまた、
カイの織り成す 色の世界に巻き込まれて
破壊のメロディーから
命の力に 満ちあふれたモノへと、変わって行った。
命の力。
すべてのものが、
たったひとつだけ その体に宿して
生まれた 力。
嵐の中、どしゃぶりの雨に 打たれながら走り出す
どうしようもない
抑えきれない 命の叫び。
そんな熱と、喜びを
そこに居合わせた誰もが、
体中で味わい、 カンジていた。
やがてカイが、画の中に
大きな星を一つ 描き始めた。
その星は 遠く、気高く 黄金だ。
オウジの曲もまた、
たくましく 輝かしいものに成る。
そして、カイのグラフィックと、
オウジの曲が、
示し合わせたように 同時に終わりを遂げた。
壁一面に描かれた 黎明の空。
嵐が過ぎ去ったあとの、
静かな オレンジのグラデーションに、
紅と紫の雲が
真反対の、艶やかなコントラストで浮かび
その中で、
一際強く 明星が、シャンパンゴールドの煌めきを
どこまでも 放射状に放っていた。
しぃ・・ んと
張り詰めた間をおいて。
ゥワァアーーーーッと 大きな歓声が、上がった。
オウジがハッと我に帰ると
周りに4、50人の人だかりが 出来ている。
「ブラボー!!」 「ブラ~~ボーゥ!」
人々は皆ありったけの笑顔で、
惜しみない拍手の嵐を 2人に送った。
そして口々に歓声をあげ、ピーピーと口笛を鳴らし、
写真を撮ったりして、
どよどよと、道端に置いてある カイのソフト帽の中に、
お札や コインを入れていった。
オウジは 何が起こったのかサッパリで、
息を切らしながら、
ただ ボウ然と突っ立ってる。
額から汗が したたり落ちて、
全身に どくどくと赤い血が駆け巡っていた。
ゴキゲンに駆け寄ってきたカイが、
「Good job!!」
と、オウジを抱きしめる。
なんかイキオイで、そいつを抱きとめてしまった後で。
「ウワッ! な、何すんだッッ!!」
と、慌ててカイを突き飛ばすオウジに
ギャラリーからまた、笑いと 歓声が上がった。
「さあさあ~~
そんな所でイチャついてないでっ、
中に入って頂戴だ~~い
みんなも、どうぞぉ~~~!
あらあら大変! 2人とも汗だくじゃないの~ぉ」
ショウゴが、いそいそと2人の背中を押して 店に入る。
「さささ座って!
キー坊~~! 何か冷たい飲み物~
あ、そうだわ、ワイン開けちゃいましょー!
とっておきのヤツよぉ~~~!!」
気がつけば、オウジはグッタリだ。
エネルギーを、かなり消耗したみたい。
と、目の前に どこかで見たカオがある。
「また逢えて 嬉しいわ」
「あ・・・ 女マシュマロマン・・・? !」
ジェシーが、オウジに微笑みかけた。
--------------------To be continued!
このお話はフィクションであり、設定は1980年代NYです。
なお、本作は作者本人により「イースト・セブンス・ストリート ~NYの夢追い人~」として、以前アメブロに掲載されていたものです。




