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五歳児の私が魔法の絵本に吸い込まれたら地の文と会話できて色々面白いから勢いで世界を変える!  作者: アオイ
第1章 『おとぎのせかいに来てみたら地の文と会話できるようになったから、やたらめったらお願い事をしてみた。そしたら地の文を幼女にすることができた』
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『かたいことは、なしよ!』

 魔女のエリババが消えてしまってから数分が経った。

 それは同時に、クリスティアがぼうっと立っていた時間でもあった。

 彼女は外の世界で友達と遊ぶということを経験したことがなく、《お別れ》という出来事を初めて体感したのだ。

「もー。なんかしゃべり方が変だよー」

 急にぷんぷん膨れ出す少女。

 クリスティアは誰もいないところにずんずん進むと、誰もいないところに向かって指をさしながら言った。

「だぁーからー! じのぶ君のその喋り方、ヘンだよー」

 このお話から読み始めた方にとっては、非常に解せぬ光景であろう。

 そうなのです。

 実は私も困っているのです。

 なぜならば、彼女クリスティアは、如何してか地の文である私と会話をすることができるからなのです。

 誰か、たすけちくり~。

「そうそう、そんな感じでいいの!」

 ひえぇー。だめだよー。

 こんなの非常識だよぉ。

 掟破りだよぉ。

「へんてこりんな場所で、なに言ってるの? 」

 それ言われたら私負けるぅ。

 確かにクリちゃんのいう通りだよー。

 この魔法の絵本の世界にクリちゃんがいる時点で既にこの物語は可笑しいんだよぉ。

「たのしいから別に気にしてないよ! それに、エリババおねえさんからお家に帰る方法も教えてもらえたし!」

 そう言われても……なんかやっぱり慣れないよー。

 だんだん自分が怖くなってきた……。

「怖くない怖くない。じのぶ君はじのぶ君よ。しっかり私を見守っててね!」

 何て堂々とした優しい子なんだ。

 クリちゃんは私に微笑みかけるとゆっくりと歩みだしたよ。

 私はそんな彼女をしっかり守るために、あらゆる手を使ってみせるよ!

 まず手始めにこれをやってみよう。


 クリスティアはいい香りのする風の道にたどり着きました。


「わあ! いい匂い!」

 私の力では彼女をコントロールできない。

 でも、〈現象の方〉はどうにでもできる。当初良い香りのする風が流れていた道を大幅にずらし、クリスティアのいる位置に書き換えてしまったのだ。

 ははは、すごいすごい。我ながらすごいよ。

「この風を辿っていけばいいのね!」

 風が少女のスカートを膨らませ、持ち上げ、翻し、肌に食い込んだ下着をちらりと見せ、萎ませて下ろし、また膨らませ……を繰り返す。

 そう。この風の動き、実は私の趣味なのです。

「それにしてもこの風さん、さっきから私のスカート捲ってくるわ。じのぶ君、どうにかして!」

 風が弱まる。

 それは少女の鼻に良い香りだけを感じさせるほどにまで落ち着いた。

 地の文にだって、罪悪感はあるんですよ。

「それじゃあ、良い香りのする方へ、ばーもす!」

 腕を大きく振って前進するクリスティア。

 そんなに体を動かすと、胸の描写が半端なくなっちゃうよ!

 それでもいいのかい!?

「楽しければなんでもいいよぉ」

 それでは。ぷるんぷるん。ぽよんぽよん。たゆんたゆん。

 ああ、なんて目に優しい動きなのだろう。これだから地の文は止められない。

 美少女が笑顔で歩く姿を見るだけでも癒されるのに、それに加えて、ふほっ、お、おっぱいが。

 おっぱいが凄い(笑)

「(笑)って表現、面白いね!」

 そうなのかい? それならばドンドン使ってあげよう(笑)

 少女の胸の膨らみは丁度、成人男性の手のひらに納まるくらいの実に丁度いいもので、この私に手が存在するならば是非とも触らせてもらいたい(笑)

 ピンクの可愛らしいドレスは胸の先端を隠す位置までしか無く、はだけた白っぽい肌に赤みがかったおっぱいは圧巻である。

「おっぱいおっぱいって、赤ちゃんみたいね! じのぶ君はこれがそんなに好きなの?」

 少女は何を躊躇うこと無く自身の胸を人差し指で突く。

 ぷるんと波打つ表面が、くぅ~たまらん(笑)

「ああ、じのぶ君のおかげで全然退屈しないわぁ! この世界、大好きかも!」

 ホップしてステップしてジャンプするクリスティア。

 時々見せていた、心配そうな気色はもう無い。

 彼女は伸び伸びと動き始めた。

 あれ、この感じ、彼女が絵本を読んでもらっていた時のと似てはいないか?

「そうそう! マミーのお話を聞いている時と同じ気持ちなの! わくわくしちゃう!」

 クリスティアの晴れ上がった声音に、《母親の読み聞かせ》への愛情がひしひしと伝わって来る。

 そういえば、最近この子の母親は私を手に取っていないような。

「そうなの。マミー、赤ちゃんが産まれてから、御本読んでくれなくなっちゃった」

 そうだったのか。

 クリスティアはしゅんとして指を組み合わせた。

 うう、そんな悲しそうな顔をしないでおくれよ。

 なんだか、私の涙腺が……。

「どうしてなのかな?」

 ……。

「じのぶ君? どしたの? 具合悪くなっちゃった?」

 違うんだ、クリちゃん。私には君の母親の気持ちがわかるんだよ。

 でも、今それを話しても、きっと君を混乱させてしまうだけだと思う。

 いつか必ず、しっかり説明してあげるからね。

「そうなの? わーい! 約束だよ!」

 手のひらを指の先まで伸ばすと、クリスティアはるんるんとスキップをして喜んだ。

 なんだか、彼女がこの世界に来てしまった理由がわかった気がする。

 私の使命が、私を生み出した者の想いが、ここにあるんだ。

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