4/8
*怪訝
「大丈夫?」
小さく唸りを上げてベッドに横たわるベリルに声をかける。逃げた侵入者は、城の者たちが引き続き追ってはくれるが油断はならない。
「……」
心配そうに見下ろしている青年を一瞥し、溜息を吐き出す。
「痛みには慣れているが消えるものではないな」
「当り前だよっ! 俺のために……」
この量は危険なんじゃないだろうか……胸の血に眉をひそめる。大丈夫だとは言われても、赤く染まっている胸元は青年を不安にさせた。
彼の表情からして落ち着いているようにも見えるが、閉じた瞼がぴくりと動く度にドキリとする。
「運良く当たるとは相手も腕が良い」
「運悪くだろ……」
溜息混じりにつぶやいた言葉に呆れながら応えるも、やはり少しでも何かしないとという気持ちが抑えられない。
「とっ、とにかく止血だけでも!」
「! 構うな」
服を掴んだ青年を制止したが、彼の様子と服の状態に怪訝な表情を浮かべた。
「血が止まってる……もう?」