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人間は信用できないのでスライム王国を作ります!(一話あたり短め)  作者: 公卵
スライム王国建国編

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23/35

マモル、料理をするの巻


敵襲は相変わらず時折あるものの、防御体制が整ってからは大きな被害もなく、スライム王国は概ね安定していた。

だからこそ、だろうか。僕の中に、ひとつだけ小さな不満が芽生えていた。


――食事が、あまりにもシンプルすぎる。


今この王国で取れる作物は、日本で言うところの野菜と芋が中心だ。

決して不味いわけじゃない。むしろ素材そのものの味はいい。ただ、基本はそのまま食べるか、茹でるかの二択。毎日となると、どうしても飽きが来る。


「ゴールド、正直に聞くけど……この食事、飽きない?」


そう尋ねると、ゴールドは少し驚いたように目を瞬かせた。


「飽きる、でございますか? いえ、私は特に不満はございませんが」


「僕もないよー。おいしいよー」


横からアルミンが元気よく言う。

ライムに至っては、目の前の芋を抱え込んで、無言でバクバク食べていた。


……どうやら不満を持っているのは、僕だけらしい。


「だったら、自分で何とかするか」


そう思い立った。

幸い、ゴールドが旅の途中で持ち帰った胡椒は、すでに王国内で栽培できるようになっている。この世界の作物は成長が異様に早い。つくづくありがたい環境だと思う。


材料は揃っている。

芋と野菜、それから――襲撃してきたオークの肉。


少し抵抗はあったが、食料になると聞いていたし、無駄にするわけにもいかない。

記憶を頼りに、ジャーマンポテト風の料理を作ってみることにした。


火を通した肉の香りに、胡椒を振る。

芋と野菜を合わせて、全体を混ぜる。


「……できた」


半信半疑で一口食べてみる。


「……あ、美味しい」


思わず声が漏れた。

素朴だけど、確かに“料理”になっている味だ。


「ゴールド、アルミン、食べてみて」


二人も口に運び、少し間を置いてから反応が返ってきた。


「……これは、驚きました。実に奥深い味でございます」


「おいしい! いつものとぜんぜんちがう!」


ライムはというと、説明するまでもなく、皿が空になる勢いで食べていた。


その時だった。


「……あれ?」


アルミンが料理を口にしたまま、ふと動きが止まる。

次の瞬間、淡く発光した。


「ま、また……?」


光の中から、ぽん、ぽん、とスライムが生まれる。


「ゴールド、これって……」


「確認しましたが、戦闘能力はありません。ただし――料理に特化したスライムのようです」


「料理特化……」


生まれたばかりのスライムたちは、鍋や食材の方をじっと見つめていた。

まだ何か作れるわけではなさそうだが、妙に手つきが器用そうに見える。


「今はレパートリーも限られておりますが……成長次第でしょう」


「そっか……それなら、楽しみだな」


その日以降、不思議なことが起き続けた。

僕が料理を作るたび、料理を得意とするスライムが少しずつ増えていったのだ。


やがて彼らは簡単な味付けを覚え、焼く、煮るといった工程を真似し始める。

王国のあちこちから、食事の匂いが漂うようになった。


気づけば、食事の時間は王国全体の楽しみになっていた。

スライムたちはそれぞれ好みの料理を囲み、以前よりもずっと楽しそうにしている。


敵から守る力だけじゃない。

生きる中での楽しみも、国を形作る大事な要素なんだと、この時はじめて実感した。


スライム王国に、また一つ――

「食事」という小さくて、確かな発展が加わった。


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