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人間は信用できないのでスライム王国を作ります!(一話あたり短め)  作者: 公卵
スライム王国建国編

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22/35

マモル、忠臣との再会の巻


ゴールドが旅に出てから、どれくらいの時間が経っただろう。

正確な日数は分からないが、王国の空気が少しずつ落ち着きを取り戻し、その一方で自分の中には焦りのようなものが積もっていた。


その日も、僕はシルバーの前に立っていた。

開けた訓練場で、何度目かの魔法展開を終える。


「……ここまでで結構です、マモル様」


シルバーは静かにそう言って、にこりと微笑んだ。


「正直に申し上げますと、かなり上達されています。最初に比べれば、魔力の流れも安定してきました」


その言葉に、胸の奥が少しだけ軽くなる。

防御魔法は地味だ。派手な攻撃もなければ、目に見える成果も少ない。それでも、王国を守る力として必要だと信じて、僕は続けてきた。


その時だった。


「ま、マモルさまー!」


幼い声が訓練場に響く。

振り向くと、アルミンが息を切らしながらこちらへ駆けてきていた。


「てき! てきがきたよ! また、そとから!」


「……やっぱり最近多いな」


思わずそう呟く。

以前なら珍しかった敵襲が、ここ最近は間隔を空けずに起きている。


「シルバー、行こう」


「はい」


状況はすぐに把握できた。

王国の外縁に、魔物の小集団。数は多くないが、放置すれば被害が出る。


僕は深く息を吸い、意識を広げる。

魔力を張り巡らせ、王国を包むように防御魔法を展開した。


透明な壁が、見えない圧となって立ち上がる。


直後、シルバーが一歩前に出た。


「では、私が片付けましょう」


彼女の周囲に、赤い魔力が集束する。

次の瞬間、炎の奔流が広がり、魔物たちを一気に包み込んだ。範囲を正確に絞った、無駄のない攻撃だった。


戦闘はあっけなく終わった。

スライム王国側の被害は、今回もゼロ。


「ふぅ……」


思わず息を吐く。


「見事な連携でした、マモル様」


「ありがとう。でも……正直、これが続くのは面倒だな」


口にしてから、自分でも驚いた。

守れたことへの安堵よりも、繰り返される事態への疲れが先に出ていた。


シルバーは少し考えるように目を伏せ、それから言った。


「でしたら、“敵に見つからないための結界魔法”はいかがでしょうか。王国全体の存在感を薄める術式です」


「……それができたら理想だけど」


僕は首を振る。


「今の僕じゃ、維持できないと思う。下手をしたら、肝心な時に防御が抜ける」


「ええ。私も同意見です。技量が追いつくまで、保留が賢明でしょう」


そう結論が出た、まさにその時だった。


「――ただいま戻りました、マモル様」


聞き慣れた、落ち着いた声。


振り返ると、そこにはゴールドが立っていた。

旅装を解き、変わらぬ佇まいでこちらを見ている。


「ゴールド……!」


胸の奥に、すっと何かが収まる感覚があった。


その後、場所を移して報告を受けた。

ゴールドは淡々と、しかし詳細に旅の内容を語ってくれた。


王国周辺の地形。

四方を囲む山々と、人間が容易に入り込めない構造。

北を越えた先にあった小さな村。

そこで出会った人間たちの態度と、依存と、裏の顔。


「……彼らは、善でも悪でもありません。ただ、自ら立つ意志が弱い。それを他者に預けることを、当然だと思っている」


その言葉を聞きながら、僕は静かに頷いていた。


「やっぱり……人間は、信用できないな」


自分の口から、自然とそんな言葉が出た。

ゴールドは否定も肯定もせず、ただ一礼する。


最後に、彼は一枚の地図を取り出した。


「こちらが、今回整理した地図です。ジパング王国全土と、その周辺になります」


広げられた地図を見た瞬間、僕は目を見開いた。


「……似てる」


「はい?」


「この形、日本にすごく似てる」


海岸線、国土の伸び方、山脈の位置。

細部は違えど、全体の輪郭が、驚くほど記憶と重なっていた。


「これなら……覚えやすいな。この世界の地理」


思わず笑みがこぼれる。


その様子を見て、ゴールドの表情もわずかに柔らいだ。


「それは何よりでございます、マモル様」


主人の喜ぶ姿を見て、彼もまた喜んでいる。

そのことが、僕にははっきりと分かった。


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