アルミン、ぼくたちのいばしょの巻
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ぼくは、あさになると、だいたいこの場所のきもちがわかる。
つちが、あたたかいとか。
みずが、きょうはよくながれているとか。
だれかが、すこしこまっているとか。
きょうのあさは、しずかで、いいあさだった。
アイアンズのみんなが、ことこと、かんかんって、いえをつくっている。
おおきな石をはこぶスライムもいれば、ちいさなヒビをなおすスライムもいる。
みんな、だまっているけど、たのしそうだ。
ここは、まえはね。
「なにもつくりたくない」って、つちがいってたんだ。
でも、ライム様のひかりがきて、ぼくがうまれて、
いまは「なにかをまもりたい」って、いってる。
だから、ぼくはここがすき。
はたけのほうでは、あたらしいスライムたちが、どろだらけになりながら、
くさをうえたり、みずをはこんだりしている。
じょうずじゃないけど、がんばってる。
たべものをつくるって、たいへんなんだって、ゴールドさんがいってた。
「でもね」って、ゴールドさんはえがおでいう。
「出来るようになるまでが、一番大事なのですよ」
ぼくは、そのことばも、すき。
とおくのほうで、ずしん、ずしんって、あしおとがする。
カッパーさんだ。
スライムへいだんをつれて、まわりをみまわっている。
カッパーさんは、つよい。
おおきくて、かたくて、こえもひくい。
でも、ちいさいスライムがころんだりすると、
そっと、かばうように、まえにでる。
だから、みんな、あんしんしてる。
きょうは、マモル様は、まだもどってきていない。
ダイヤさんと、そとにいっている。
ぼくは、すこしだけ、さみしい。
でも、マモル様は、かならず、かえってくる。
それが、わかる。
マモル様は、えらいひとだけど、えらそうじゃない。
こわいかおをしているときもあるけど、
スライムをみると、すこしやわらぐ。
ときどき、ひとりで、かんがえごとをしている。
ぼくには、むずかしくて、ぜんぶはわからない。
でも、「まもりたい」ってきもちは、つたわってくる。
ライム様は、きょうは、しずかだ。
ひかりも、つよくない。
でも、ここにいる。
つちのした、かぜのながれ、みずのうごき。
ぜんぶに、ライム様のきもちが、しみている。
つかれているときの、やさしいしずけさ。
ぼくは、そっと、こころのなかでいう。
「だいじょうぶです。ぼくが、みます」
このくには、まだ、ちいさい。
かべも、ひとも、たべものも、ぜんぶ、たりない。
こわいものも、きっと、これから、くる。
でもね。
ここには、
マモル様がいて、
ライム様がいて、
ゴールドさんがいて、
ダイヤさんがいて、
カッパーさんがいて、
みんながいる。
だから、ぼくは、だいじょうぶだとおもう。
きょうも、つちは、あたたかい。
ここは、スライムおうこく。
ぼくたちの、いばしょ。
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きょうは、すこしだけ、へんなあさだった。
つちは、あたたかい。
かぜも、いつもどおり。
でも、みんなのうごきが、すこしだけ、とまっている。
はたけのほうで、
のうぎょうスライムたちが、ならんで、じっとしていた。
くさも、たねも、もっているのに、うごかない。
「どうしたの?」
ぼくがきくと、
ちいさなスライムが、もじもじしながら、いった。
「ここ……いえ、たつって……」
ぼくは、はたけのむこうをみた。
アイアンズのみんなが、あたらしいかべをつくろうとしている。
いつもなら、もう、ことこと、かんかんって、はじまっているじかん。
でも、きょうは、そこで、とまっていた。
「……ちがうの」
こんどは、けんちくスライムが、ぽつりといった。
「ここ、つよい。いい、かべ、できる。
でも、はたけ……だめ、って」
どっちも、わるくない。
ぼくには、すぐ、わかった。
のうぎょうスライムは、
「たべものを、つくりたい」。
けんちくスライムは、
「まもれる、いえを、つくりたい」。
どっちも、
マモル様のため。
ライム様のため。
このくにのため。
でも、つちが、ひとつしか、ない。
カッパーさんが、ちかづいてきた。
おおきなからだで、まわりをみて、
すこしだけ、こまったかおをしている。
「……たたかい、ではないな」
うん。
たたかいじゃない。
ゴールドさんも、あとからきた。
えがおは、いつもどおり。
「人間でしたら、会議、というものでしょうね」
ぼくは、かいぎ、が、なにか、よくわからない。
でも、いまは、ぼくが、いうばんだと、おもった。
ぼくは、つちに、てをつけた。
つちは、すこし、かなしい。
「ね」
ぼくは、みんなに、いった。
「どっちも、まちがってないよ」
みんなが、ぼくをみる。
「ここはね、いま、せまい。
だから、いっしょは、むずかしい」
すこしだけ、まをおいて、つづける。
「でもね。
はたけは、ひだり。
かべは、みぎ。
あいだに、みちをつくろう」
「みち?」
「うん。
はたけにいくみち。
いえをまもるみち」
つちは、すこし、あかるくなった。
けんちくスライムが、うなずく。
のうぎょうスライムも、うなずく。
「どっちも、ひつよう」
ぼくは、そう、いいたかった。
しばらくして、
また、ことこと、かんかんって、おとが、もどってきた。
はたけでは、みずがながれはじめた。
カッパーさんが、ぼくをみて、いった。
「……まもり、とは、こういうものか」
ゴールドさんは、にこっとした。
「立派な判断でしたよ、アルミン様」
ぼくは、すこし、てれる。
マモル様は、いない。
でも、マモル様が、だいじにしているものは、ここにある。
だから、ぼくは、だいじょうぶだと、おもう。
ちがっても、
おなじ。
ここは、
スライムおうこく。
みんなの、いばしょ。
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