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人間は信用できないのでスライム王国を作ります!(一話あたり短め)  作者: 公卵
スライム王国建国編

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マモル、王国が生まれるの巻②


――増える命、守る責任


 


目を覚ました瞬間、違和感があった。


……なんだ?


視界に入る天井は、いつもの俺の部屋。

石造りで、落ち着いた空間。

そこまではいい。


問題は――


「……スライム、増えてないか?」


部屋の隅。

壁際。

床の上。


見覚えのないスライムが、何体もいた。


ライムとは色も質感も少し違う、ごく普通のスライム。

小さくぷるぷると揺れながら、興味深そうにこちらを見ている。


「ゴールド!」


呼ぶと、すぐに執事姿のスライムが現れた。


「お目覚めですね、マモル様」


「いや、それより……あれ、どういうことだ?」


視線の先を示すと、ゴールドは一瞬で理解したようだった。


「新たなスライムたちですね。

 調査した結果、いくつかわかったことがあります」


俺は身を起こし、話を促す。


「まず、彼らはこの土地から生まれています」


「土地から……?」


「はい。

 正確には――この地がスライムに適応した結果、

 自発的にスライムを生み出すようになった、ということです」


俺の脳裏に、すぐアルミンの姿が浮かぶ。


「つまり……」


「ええ。

 ライム様が持つ“スライムを生み出す能力”。

 それと同質の性質を、この土地――すなわちアルミンも獲得しています」


一瞬、言葉を失った。


「じゃあ……これからも?」


「増えていくでしょう。

 この拠点が存続する限り、国民は自然に生まれ続けます」


……国民。


その言葉が、胸に残った。


純粋に、嬉しいと思った。

仲間が増える。

一人じゃない。


でも同時に、別の感情も湧き上がる。


――守れるのか?


俺は、彼らを。


「ゴールド。スライムについて、ちゃんと教えてくれ」


「承知しました」


ゴールドは淡々と説明を始める。


「スライムは、人間と同じく食料を摂取することで生存可能です」


「食えるのか……」


「はい。

 次に戦闘能力ですが、基本的にスライムは戦えません」


脳裏に浮かぶのは、ぷるぷるした無防備な姿。


「現在、戦闘能力を有するのは

 ダイヤ、そして私のみです」


「……少なすぎるな」


「事実です。

 また、寿命についてですが――基本的に老衰はありません」


少し安堵しかけた、その直後。


「ただし、致命傷を受けた場合は消滅します」


軽い口調なのに、重く響いた。


守れなければ、消える。

戻らない。


「……つまり」


俺は、結論を口にする。


「まずは守る力。

 それと……食糧の確保、か」


「妥当な判断です、マモル様」


その時、そばにいたアルミンに目を向けた。


「アルミン。

 この土地は……戦えるスライムも生み出せるのか?」


アルミンは、少し困ったような顔をする。


「……ごめんなさい、マモル様」


胸が、少しだけ沈む。


「この土地から生まれるのは……

 ふつうのスライム、だけです」


「農業、とか?」


「はい。

 それくらいが、せいいっぱいです」


正直、残念だった。

でも――


「いや……農業できるのは、ありがたいな」


そう言うと、アルミンは少し安心したように笑った。


そこへ、ゴールドが口を挟む。


「補足します。

 確かに、この土地から生まれるのは普通のスライムのみです」


アルミンが俯きかけた、その時。


「しかし――生誕速度は、ライム様をも上回っています」


アルミンの顔が、一気に明るくなった。


「ほ、ほんとうですか!?」


「事実です」


……良いフォローだな。


「では、次の行動ですが」


ゴールドが続ける。


「一度、人間界へ戻りましょう。

 農業に必要な道具、種子の購入が必要です」


「……そうだな」


その直後だった。


「マモル様!」


アルミンが、はっと顔を上げる。


「この土地に……敵が、入ってきます!」


「敵?」


外を確認すると、遠くの森の縁。

小さな影が、ぞろぞろと動いている。


「ゴブリン……?」


数は――


「……百、近いな」


それなり、どころじゃない。

ダイヤだけじゃ、明らかに手が足りない。


「くそ……」


その時。


ライムが、強く発光した。


嫌な予感より先に、空気が震える。


次の瞬間――


地面から、次々と現れる影。


武装した、スライム。


槍を構えた個体。

弓を引く個体。

そして――ひときわ重装な一体。


「……兵士、か」


五十体ほどだろうか。


無言で整列し、前へ出る。


ダイヤと合流し、ゴブリンの群れに突撃。

戦闘は、あっけなかった。


数で押していたゴブリンは、統率を失い――

やがて、敗走した。


俺は、重装のスライムに近づく。


「お前……名前は?」


そのスライムは、静かに答えた。


「……ありません」


「じゃあ、カッパーだ」


「カッパー……了解しました」


「お前に、この兵団を任せる」


「命に代えて」


頼もしい。


ふと、ライムを見る。


……ぐったりしていた。


「ライム!」


慌てて駆け寄ると、ゴールドが落ち着いた声で告げる。


「ご安心を。

 一度に大量のスライムを生み出した反動で、

 魔力切れを起こしているだけです」


「……死ぬとかじゃないんだな?」


「はい」


少し、胸を撫で下ろす。


軍事力は、最低限整った。

次は――食糧だ。


「ゴールド、アルミン。

 ここは任せた」


「承知しました」


「いってらっしゃい、マモル様」


俺は、ダイヤを護衛につけ――

最初に通った転移門へ向かう。


目指すは、イフシアの街。


スライム王国は、

静かに、だが確実に動き始めていた。


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