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第3話「オープニングゲーム」

「おいおいおいおい!これやばいって!」


必死な形相で逃げる陽向(ひなた)

"触れられたら終わり"という恐怖心からか

走り方はまさに不気味なダンスである。


そんな日向を横目に比較的綺麗なフォームで逃げている(あゆむ)


「絶対に触れられるなよ!陽向!」


逃げながらも他人に注意を払える様は

彼の冷静さを表していた。


入り組んだ路地裏を抜け、使われていない廃ビルに逃げ込む2人。

廃ビルの中は足場が悪く今にも崩れそうな箇所がいくつもある。


ビルの階段を駆け上がり、追われている気配がなくなったと感じた2人は疲れ切った表情で壁にもたれかかる。


身体は酸素を求めて、心臓は激しく揺れている。

恐怖とは少し違う、心臓の跳ね方に歩は違和感を覚える。


逃げ込んだビルの階段の踊り場で

壁にもたれかかりながら状況整理を始める2人。


「はぁはぁはぁ……なぁ、陽向。これって現実だよな?」


「超リアルだけど、ぶっとんだ夢であって欲しい…

なぁ、追われる夢って夢占い的にはどんな意味があんの?」


ポケットからスマホを取り出す歩。


「なんか…"現実逃避したい"ていう意味らしい」


「確かに、今日の授業退屈すぎてストレスだったわ」


「お前、学校向いてないんじゃね?」


「こんな夢見るなんて俺、限界すぎだろ…!」


なるべく日常的なやり取りで非現実を和らげる。

そんな、日常に戻す作業にも限界がくる。

比較的現実的な歩から話題を変える。


「さてと…ここからどうしようか…」


「とりあえず、警察に連絡したほうがいいよな?」


「いや、警察でも触れられたら瞬殺だろ…」


「でも、銃は流石に効くんじゃね?」


2人は徐にビルの階段から顔を出し外の状況を眺める。


ちょうど真下に黒アーマの姿を確認する。

練るように辺りを見渡す挙動はまさしく鬼ごっこの鬼であった。


「あいつ、もうここまで来てる…」


陽向の表情はうんざりしたようにくしゃくしゃになる。

そんな陽向とは対照的にどこか楽しんでいる歩。


「なぁ…陽向。ちょっと実験してみるか?」


「えぇー、何すんの…お前顔、怖いよ?」


「まぁまぁ、"コイツ"をここから落としてあの黒アーマーにぶつけてみようぜ」


歩が呼んでいる"コイツ"とは

そこら辺に落ちている手のひらサイズのただの石であった。


唐突な人体実験の意図を汲み取る陽向。


「なるほどな……歩!やってみようぜ!」


「お、さすが陽向!どんな実験か分かったか?」


「あぁ、あの黒アーマーに銃弾が効くかどうかの実験だろ!いつもお前が悪さする時、ものすごい頭の回転いいんだよな…」


「もしこの実験で、あの黒アーマーが死んじゃっても正当防衛でいけるかな?」


「いけんじゃね?俺ら殺されかけたし…!」


歩はもう一度ビルの真下にいる黒アーマーを確認する。

次に階段の踊り場にある階数表示板を確認する。


「今は4階か…

ここから落としても銃弾よりも威力足りないよな…」


「何階まで行けばいい?俺行こうか?」


「うーん…そうだな…」


歩は静かに目を瞑り、深呼吸をする。


「おっ!出たな!歩の真剣モード!!」


どうやら、目を瞑り深呼吸をする動作は歩の熟考時のルーティンのようだ。

そして、呼吸が整うと目を閉じたままぶつぶつと喋り出す歩。


「手のひらサイズの石、約1kg…

ビルの一階ごとの高さ約3m…

警察官の銃…リボルバーの威力約300Jと仮定…」


呪文のようにぶつぶつと唱えたのちに静かに目を開ける歩。


「よし!10階だ!!」


「おっけい!任セロリ!!」


歩の導き出した解答が合図のように陽向は石を持ちビルの10階へ駆け上がる。

陽向が10階に到達した頃に歩は階段の壁から顔を乗り出し陽向にアイコンタクトを送る。


「よっしゃ!いっけぇー!!」


陽向は非日常な実験に胸を躍らせながら石を手から離す。

1.5秒ほど経った後に破裂する音が響き渡った。


———

【あとがき】


本作を手に取っていただき、本当にありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけたら、⭐︎やフォロー、感想をいただけるととても励みになります。

これからも物語を大切に紡いでいきます。

応援よろしくお願いいたします。

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