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第1話「悪手」

ある日、いつもの通りの日常に違和感を覚える。

そんな違和感がみるみると、さも当然のように脳に染みたる。

そう、これが日常だよな…

———

キーンコーンカーンコーン

勤勉という拷問からの解放のチャイムが響き渡る。


「よしっ、帰るか」

机を使って教科書やノートを綺麗に整える。

身長は平均よりもやや高めの工夫もない黒髪。

教科書をカバンに収納し、いつも通り席を立つ。


彼の名前は玉川 歩(たまがわ あゆむ)

なんの変哲もない日常を淡々と送る高校三年生だ。

頭は悪くはないが良くもない。至って平凡な学生である。

だが、そんな平々凡々な日常を頻繁にぶち壊す存在が彼にはいた。


「おーい!(あゆむ)ぅ〜一緒に帰ろうぜぇ」


教室の扉にもたれ、緑髪を揺らしながら誘惑する童顔な男。

勤勉という拷問から生還したと言わんばかりの爽やかさを感じた。

この男こそ、俺の平々凡々な日常をぶち壊す男。


名前は桂木 陽向(かつらぎ ひなた)

俺と同じ、高校3年生だ。

陽向(ひなた)とは小学校からの幼馴染で、俺のどの思い出シーンにもこいつがいる。

これが、腐れ縁てやつなのかもしれない。


「あぁ、帰ろうか」

俺と陽向は学校を後にした。


———


「あぁー、今日もお疲れ様!俺!今日も退屈な日々を生きてて偉いなぁ〜俺!うんうん〜」


陽向の毎度お決まりの自分励ましタイムが始まる。

もはや、自慰行為の何ものでもない。

これで、メンタルを保てるならかなりコスパのいい人生だ。


「はいはい、偉いですね」


「おいぃ、歩〜。もっと真剣に褒めてくれよなぁ。昔はちゃんと付き合ってくれてたぞっ」


「もう、11年も聞いているんだぞ。毎日毎日、お前は言葉覚えたての…」


「インコか!だろ!もう、10年間も聞いてるよ!」


10年ほどで創り上げた夫婦漫才を披露しながら、これから始まる非日常に歩を進める。


「毎日、学校行って帰っての繰り返しでなんか面白いこと起きねぇかな〜」

陽向が退屈そうにに頭の後ろで手を組みながら呟く。


「カラオケでもいくか?」

優しさでも何でもない反射で出たワードを発声する歩。

しかし歩の手は、忙しそうにスマホの画面の上を踊っている。

スマホ画面には、将棋の駒が軽快に動く。

そんな、歩に陽向が問いかける。


「なぁ、毎日将棋アプリしてるけど飽きないわけ?」


「いや、飽きるよ」


「飽きるんかーい!飽きてるのにしてるわけ?歩、お前マジで変人だよな」


「ルーティーンてやつだ。てか、陽向に変人って言われたくないんだけど。」


「はぁぁ?俺のどこが変人なんだ……」


——その時だった。


「きゃぁぁぁぁぁ!!」


空気を裂くような悲鳴が通りに響いた。

歩と陽向はあまりに聞きなれないヘルツに顔を見合わせる。


陽向は状況を確かめるように口を開く。


「え……今、なんか聞こえたよな。」


「あ、あぁ、明らかに悲鳴だったよな…」


「だよな……ど、どうする?事件の香りしかしないぞ…?」


「……行ってみよう。」


「ま、まじで!?怖えよ!!やだよ…」


「もし、助けが必要なら見過ごせない。」


「ま、まずさ警察呼ぶとかさ、助け求めるとかさ……ちょ、ちょっと!」


陽向が震える指で110を押す横で、

歩の足は、もう悲鳴の方へ向かっていた。


(放っておけない。)


考えるより先に身体が動いていた。


「お前の正義感どうかしてるってぇ!」

陽向は叫びながら歩を追いかけ走り出す。


———

【あとがき】


本作を手に取っていただき、本当にありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけたら、⭐︎やフォロー、感想をいただけるととても励みになります。

これからも物語を大切に紡いでいきます。

応援よろしくお願いいたします。

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