▼~初登校編~ 1.早起きは大敵
諸注意、佐島勤さんの『魔法科高校の劣等生』に酷似していると指摘を受けますが、真似しているつもりは有りません。
時間軸を伏線なしに、一直線に表せば、きっとそのように言われなかった筈だと自分では思っています。
確かに、今のままだとかなり似通っている部分は有りますが、物語が進んで行けば、今までの見方が変わると思います。
兎に角、その判断は完結してからして下さい。
もし、それが気に食わなければ読まないで下さい。僕も、無駄にパクリだ何だと言われたくありませんので。
佐島勤さんからの意見も感想に書いてあるので、そちらをご確認下さい。
この作品には、実在する声優さんの名前をキャラに使っていたりしますが、それらは作者が勝手に使っているだけなので、実在する声優さんたちとは一切関係有りません。
ストーリーを読み進めて行くと、BGMなるものを記載していきます。
もし、聴くことが出来れば、そのタイミングで聴いて頂けると、丁度シーンに合わせられるかと思います。
本作の傾向・作家本人の好尚として、ルビを大量にいれておりますので、携帯からの説覧者の方には申し訳ありませんが、少々見づらい作品に成っているかも知れません。
それと、縦書きで読んだ方が読みやすい仕様になっている(筈?)ので、試して見て下さい。
本作の更新頻度・進行速度は亀です。完結を気長にお待ち頂けることを願います。
二章完結時点でのストーリー全体の進行状況は全体の約2/7くらいです。
かといって、7章になるとも限りません。これは飽くまでも、ストーリーとしての進行状況です。
折角学園ものにしているので、学校行事も取り入れて楽しくしていければと思っております。
長い前書きで、申し訳ありません。
それでは、本編をどうぞ。
「お兄様~」
長い髪の少女が、ドアを控えめにコンッコンッコンッとプライベートノックした後、控えめな声でドアの向こう側へと問い掛ける。
しかし、中からの返事はない。
先ほどと同じ様に、今度は少し強め(とは言ってもまだまだ控えめ)にノックをしてから、
「お兄様~! 小夜です! 入りますよ?」
声を掛けてから、中からの返事を待たずに中へと入る。
「はぁ~」
そして、ベットを見て溜息を一つつく。
ベットの上には、誰も居ない。
「はぁ~、いつものこととは言え、お兄様ももう少し抜けていて下さらないかしら。そうしたら、私が起こして差し上げられますのに!」
っと、いつも規則正しい生活を送る真面目な兄に対して理不尽なことをもらす小夜。
所詮いつものこと、兄が既に起きているだろうことも、それを分かって居ながらわざわざ起こしにくるということも、最早日課だ。
では何故、起きているであろう兄の部屋まで、毎日この妹が通い続けるのか? それは、一重に『寝過ごすお兄様優しくを起こしたい!』っという、偏った兄想いの発想からだった。
だが、小夜の想いも虚しく、三年以上も前から抱き続けるこの想いは今だかつて、ただの一度も果たされたことがない。
一階に降りて台所へと立つ小夜。
台所のテーブルの上には、後は火を通すだけと言うところまで、進められた状態の料理が並べてある。
それを確認して、又もや少々残念な気分になる。
(こちらもいつも通りですわね……)
いつものところに引っ掛けてあるエプロンを掛け、リボンで髪を結わえて早速調理にかかる。
とは言っても後は本当に火を通すだけなので、『兄を甲斐甲斐しくお世話したい!』この妹にしてみれば物足りなさを感じずにはいられない。
だが、かといって自分の我が儘のために兄の生活を掻き乱すのも本意ではないので、仕方なしに甘んじている。
因みに彼女のモットーは、『お兄様の行動に口を挟むなど、妹としては言語道断! お兄様の行いの全てを補佐することこそ、妹の本分!!』っとこれまた非常に偏ったものであった。
朝食と一緒に昼食用の弁当も用意する。
勿論、その分も兄が下拵えを終えているので、加熱して詰めるだけで完了となる。
弁当を詰め終えて、朝食を食卓へと並べている間に、庭の方から人の気配を感じた。
予め準備してあるスポーツタオルとコップに水を注いで、縁側へと駆け寄る。
「おはようございます。お帰りなさいませ、お兄様」
「おはよう。小夜」
早朝ランニングから帰って、庭でクールダウンのストレッチをしている兄と挨拶を交わす。
「タオルをどうぞ。それと、お水です」
「ああ、ありがとう」
一通りストレッチを終えたタイミングで兄にタオルとコップを差し出す。
そのときに向けられる僅かな微笑みが、彼女の朝の最大の楽しみだ。
「それじゃシャワー浴びてくるよ」
「では、お着替えは制服を用意しておきますね」
「ありがとう。それじゃあ、お願いするね」
小夜は、はいっと快い返事を返す。
コップの水を一気に飲み干してから、空のコップを妹へと返し、兄は縁側から家の中へ入り直接風呂場へと向かった。
小夜は、兄から受け取ったコップの縁の唇の跡へと、自分の唇を軽く当てた。
いつものこと(兄妹でそれはどうなのか? という考えは、この妹にはない)にも関わらず、自分の行為への恥じらいと、例え間接でも兄とキスできたという喜びで、頬を朱に染める小夜なのであった。