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特別な時間をプロデュース!!  作者: むくのき
第1章 『特別』を作る人間
6/13

06 テンプレは憧れ

少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけましたら、

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俺達は少し話しを交わした後、各々で読書を続けた。

先輩は新刊のラノベ、俺はラノベ史に残る名作を読んでいる。


アニメや漫画、そしてライトノベルにはいわゆる「テンプレ」と呼ばれる展開がある。

例えば、「遅刻しそうになっているパンを咥えた女の子と曲がり角でぶつかり、ちらっと見えるスカートの中、恥じらう女の子、そこから始まる恋」だったり、「家に帰ろうと下駄箱まで行くと、好きな子が立っていた。外は雨、一本の傘に一緒に入ってドキドキする、もしくは自分の傘を貸して自分はカバンを傘代わりにして走って帰り、翌日に傘を返してもらったことがきっかけで徐々に会話をするように――」といったものだ。


異世界モノなら、「現世で死んで異世界に転生。現世の知識を駆使して異世界で無双する――」といった感じだ。


これらは二次元では「テンプレ」、つまりよくある展開だ。

ただ、現実ではまず起こらない展開だ。

そんな展開を現実で起こしてこそ俺の『特別感』や他の人の『特別感』につながるのではないか――


誰しも空想上の物語には憧れがある。

女の子なら白馬に乗った王子様に連れられるシチュエーション。

男なら特別な力を手に入れて無双するシチュエーションや好きな女の子のために体を張る展開。


ただ、成長するにつれてそんなことは起こり得ないとわかってくる。

そんなチャンスはやってこないと。

そしてそんな憧れを一度口に出せば周りからは子供扱いされ馬鹿にされる年齢だ。


それでも人間が考える事ができる生き物である以上、多少の妄想は高校生になってもするだろう。

だから俺がそれを叶えて『特別』な時間を過ごしてもらう。

子供の頃に夢見た展開や最近漫画で読んだ展開を体験してもらう。

今この瞬間に『特別』を味わってほしいから――


そして今日も誰かの『特別』を叶えるチャンスがやってきたらしい


「そういえば藤くん、ブラックリストに登録されたんだって?これで名実ともに世紀の大問題児あつかいだね〜」

「はい。この『特別感』も悪くありません。その話、陸山会長から聞いたんですか?」

「そうそう。小学生の頃から知った仲だからね」

山吹先輩と陸山会長は小学生の頃に千葉で出会ったらしい。

そして陸山会長が中学生の時に神奈川に引っ越した後も連絡だけは取っており、高校二年の途中から山吹先輩も神奈川にやってきたことで再会したというわけだ。


「そんな大問題児の藤くん、不登校の女の子を助ける気はない?問題児が女の子を助けるなんて、なかなかグッと来る展開だと思うけど?」

「不登校の女の子?」

「そう。二年一組の子なんだけど、なんでもその子は二年に進級してすぐに学校に来なくなっちゃったんだって。それで一組の担任の音無先生が責任感じたのか分からないけど体調不良になったらしくて――」


それで今日の古典の授業が自習になったのか。

音無先生は新任教師で年齢もまだ二十二歳。

自分が担任になってすぐに不登校の学生が出ると不安になるのも無理はない。

「それで職員室でも度々話題に上がってるって聞いたよ」

「不登校の学生の名前は分かりますか?」

「たしか西園寺 時子(さいおんじ ときこ)さんって名前だった。これはわたしが独自で調べたんだけど、彼女の家は老舗の和菓子屋で日本の伝統とか文化を重んじる、由緒正しい家柄なんだって」


どうやってそんなことまで調べたんだ。

たしかにこの話、おもしろい。

言うなれば、お城に引きこもっているお姫様を外の世界に連れ出す王子様。

俺が学校へ連れ出せば西園寺さんも『特別』を感じてもらえるだろう。


「その子の家、どこか分かりますか?」


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけましたら、

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