04 学校の先生方とブラックリスト登録者
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会長と副会長に呆れられながらも生徒会室を後にした頃には昼休み終了五分前となっていた。
結局、ろくに昼食も摂れずそのまま午後の授業に臨むことになった。
クラスに戻ると大半の生徒が席につき、五限の現代文の準備をしていた。
俺も席につき、準備を進めながらもブラックリストについて考える。
ブラックリストに登録されることは全生徒にとってデメリットでしかない。
まるで自分の学校生活の一挙手一投足が生徒会によって監視されているように感じられ、退学のリスクまで付き纏うためだ。
ただ俺にとってはメリットでもある。
自分の進退のリスクを抱えながらも自分や他人のために動く。
その姿に人の心は動かされるのではないだろうか。
まるで二次元の主人公みたいで。
偽善だ。自己満だ。
そんなことを理解していても俺は目的を成し遂げたい。
「自分や他の誰かにとっての『特別』な時間をプロデュースしたい」
人生を振り返って、「あのときは特別な時間を過ごしてたんだな」では遅い。
俺も俺の周りの人も『今この瞬間』に『特別』を感じてほしい。
そしてその瞬間を大切にしてほしい。
あの時の俺と同じ後悔をしてほしくないから。
そんなことをぼーっと考えていると後頭部に強い衝撃を受けた。
現代文の北里先生に教科書で引っ叩かれた。
「藤織くん、聞いていますか?教科書の三十二ページです」
行動とは裏腹に口調は優しい。
「先生。それはもう少し違うシチュエーションでお願いします」
「はい?」
「ですから俺は『授業中に好きな子と目が合う、それとなく目線で会話、二人だけの世界ができあがった中で先生にバレて自分だけ頭を教科書で叩かれる』というシチュエーションを要求しているんです」
「そんな場面は頭の中の妄想にとどめておきなさい。あと放課後に職員室に来るように」
「先生、放課後は予定が――」
「放課後に職員室に来るように」
「ひゃい」
権力に屈してしまった。
「藤織くん、ブラックリストに登録されたそうですね」
夕方のホームルームが終わってすぐ、職員室に着くと開口一番そう言われた。
「北里先生、耳が早いですね。というか早すぎませんかね」
「これでもわたしは生徒会の担当教師ですからね」
先生はため息を付きながらそう言った。
北里先生は三十手前と若いながら学年主任と生徒会を担当している。
ため息をつきながら美人教師に呆れられる俺。
悪くない。
「それよりも我が校初のブラックリスト登録者が君になるとは―― そこにいる村瀬先生を見て下さい。ただでさえ不健康な生活をしている村瀬先生が今回の一件でさらにやつれているではありませんか」
村瀬先生は俺の一年の頃の担任だ。
細身で格好はだらしない印象を受ける。
ただ生徒思いでとても人気のある先生だ。
が、今回の俺の一件を聞いたのだろう。
もう干からびそうになっている。
一瞬、古代エジプト展の展示物だと勘違いしそうになる。
村瀬先生、これも先生にとって特別な体験だと思って我慢してくれ。
「他の先生方もこれからは初のブラックリスト登録者の君を注意深く監視するようになります。そして生徒会に逐一報告が行くことになります。そして五限の授業態度で十ポイントの減点が既に決まりました。」
思ったよりも減点の幅が大きくてびっくりだ。
このペースだと来週には退学になってしまう。
「先生、この学校の生徒会はいくらなんでも与えられている権限が大きすぎやしませんかねえ。ただでさえ他にも大きな権限があるのにブラックリストなんてものの権限まであるのなら校内の誰も逆らえないじゃないですか。まさに鬼にトランスフォーマーじゃないですか」
『特別』のためとはいえ、退学しては元も子もない。
そう思って生徒会の強大な力に物申すと
「我が校は生徒の自主性を重んじる学校です。あなたを含め全生徒から民主的に選ばれた生徒会メンバーに大きな権限が与えられるのは当然のことです。あと鬼にトランスフォーマーなら鬼は必要ありません。トランスフォーマーだけで十分です」
冷静なツッコミとともに否定された。
《藤織 白:持ち点 90ポイント》
白はどうやって『特別』を生み出していくのか―
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