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特別な時間をプロデュース!!  作者: むくのき
第1章 『特別』を作る人間
10/13

10 何も知らない問題児

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「ねえ、明日は私も西園寺さんの家に行ってみていいかなあ?」

「先輩もですか?多分大丈夫だと思いますけど……」

「やっぱり名家ってことでどんな家か気になるし、ただの興味本位だけど。もちろん西園寺さんを学校に連れ出す役目は藤くんが担うべきだろうから、私は特に何もしないけどね」

じゃあ、本当に家が気になるから来るだけじゃん。

まあ、西園寺さんは恐らく来るもの拒まずのスタイルだろうし、家政婦の山城さんもそこを理解している。

特に問題はないだろう。


「わかりました。じゃあ明日の放課後、学校の前の坂を下ったところのコンビニで集合しましょう」

「なんで?下駄箱とか校門前に集合でいいじゃん」

「色々誤解されると困るでしょう。お互いに」



翌日の金曜日、俺は6限目を終えて夕方のホームルームの準備に取り掛かっていた。

よく考えてみると先輩が同行したいと言ってくるのはとても珍しい。

というか初めてだ。

今まで実行側に回ったことはなかったのに(まあ実際には今回も先輩は実行側になるわけではないが)


先輩はやはり不思議な人だ。

いつも俺の相談に乗ってくれる。

いつも俺が話しをしたいと思うときに図書室にいてくれる。

話を聞いてくれるし、アドバイスもくれる。

ただ、先輩自ら何かアクションを起こすことはない。

まるで俺をいつも見守っているかのようだ。


「藤織、ちょっといいか?」

そんなことを考えていると芳山先生が声をかけてきた。


「なんですか?芳山先生」

「最近、図書室によくいるそうだな。三年の山吹と一緒に」

驚いた。

先生の口からあの人の名前が出てくるなんて。

そもそも、山吹先輩の名前が誰かの口から出てくるなんて初めてだ。

「はい。それがどうかしましたか?」

「仲がいいのか?」

「仲が良いというか、話が合うというか――」

「じゃあ、山吹について詳しいわけだな?」


いや、実際のところ俺は山吹先輩について何も知らない。

オタクであるということ以外は。

先輩と世間話なんてしたこと無いし、いつも俺の相談に乗ってもらうだけだ。


「別に詳しくはないですよ。正直何も知らないです」

「そうか―― ならいい。急にすまんかった。夕方のホームルームを始めてくれ」


芳山先生はそう言って離れていった。


俺は山吹先輩について何も知らない。

先輩自身について何か尋ねたりもしたことが無かった。

なんだろう。

芳山先生に山吹先輩のことを聞かれたことに驚いたというよりも、自分以外の誰かが先輩の存在を認知しているという事実にどこかショックを受けている。

先輩は幽霊でもないのだから当然のことなのに。

俺は先輩の存在を認知しているのが俺だけだと思っていたのか。

そこに『特別』を見出していたのか。


なんだか人間として小さいな、俺は。

少し落ち込んだ気分になりながら、俺はホームルームを始めた。



「おっ、来たね藤くん。じゃあ早速いこうか」

俺が待ち合わせ場所のコンビニに着くと先輩は既にアイスを食べながら待っていた。

まだアイスの時期には少し早い気もするが。

俺は先輩と一緒に西園寺さんの家に向かった。

道中、俺達はアニメやラノベの話しに花を咲かせる。

いつも通りの先輩との会話。

やっぱりなにかモヤモヤする。


「どうしたんだ、少年。これから同い年の女の子のヒーローになる男の顔には見えないぞ」

「なんですかその喋り方。少年って」

「いやなんか、『落ち込んでいたら、急に声をかけてきた見知らぬお姉さん」って感じじゃない?かっこいいじゃん』

「かっこいいかは置いておいて―― 似合わないキャラですね」

「似合わないなんてヒドイな〜 じゃあ藤くんの目には私はどう写ってるの?」

「そうですねえ。ゲームのお助けキャラって感じですかね。それも主人公しか知らない不思議系の」

「主人公しか知らない?そんな幻のキャラみたいなイメージなの?」

「だって先輩、学校とかで見かけても誰かと話しているところ見たこと無いし――」

「藤くんと話しているじゃん」

「俺以外とってことですよ。先輩、この際だから聞きますけど――」

思い切って聞いてしまおう。

「先輩ってなんで、俺の目的に付き合ってくれるんですか?こんな面倒事に」

「面白そうだからって理由じゃだめ?」

「本当にそうなら、普段からもっと誰かと会話したり面白いことを見つけに行くものじゃないですか?自惚れみたいに聞こえるでしょうけど――なんで俺なんですか?」


「ほう、なぜ藤くんか、か。そうだねえ、それに関しては今回の件を乗り切ったら話そうかな」


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