01 美人幼馴染とクラスの変わり者
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エジソンは偉大な発明家である
人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐く
太陽は東から昇って西へ沈む
ほのおタイプはみずタイプに弱い
神奈川県立朝檜山高校二年二組の藤織 白は変わり者である
彼は自ら進んで面倒事に首を突っ込む。
二年生に進級してすぐ、彼は自ら学級委員に立候補した。
多くの学生が面倒事だと思い避ける中。
ただ学級委員に立候補する人は別に珍しくはないだろう。
しかし彼は「学級委員は俺一人でいい」と言ったのだ。
基本的に学級委員は二人。男女一人ずつの場合もあれば同性でも構わない場合もあるだろう。
朝檜山高校の学級委員は仕事量が多い。
生徒の自主性を重んじているがゆえの必然だ。
朝夕のホームルーム運営、集会時のクラスの統率、毎週のあいさつ運動、他クラス他学年の学級委員との会議、その他クラス内の取り決めなど、その他多岐にわたる。
それを一人でこなすのだ。
彼は自ら進んで面倒事に首を突っ込む。
二年生に進級してすぐ、彼は自ら図書委員に立候補した。
委員会を2つ兼任することは極めて珍しい。
しかも学級委員との兼任だ。
毎週の図書室の運営当番や書庫の整理、図書室新聞の発行、ビブリオバトル等のイベント運営などが主な業務だ。
二年の四月時点で彼は変わり者扱いを受けるようになった。
ただクラスメイト、いや全校生徒や先生もこのときはまだ気づいていない。
ここまでの彼はまだ『凡人』の域にとどまっていたことを。
◇
5月。
桜が散って木々が青々と生い茂っているなか、俺は県立朝檜山高校の前の坂を登っていく。
運動部にとっては「心臓破りの坂」と言われる坂だ。
「白〜 置いて行かないでよぉ〜」
坂を登りきって校門をくぐる直前、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。
立ち止まって振り返ると、かなでが走ってきた。
流石、女子バレー部次期キャプテンとして期待されるだけある。
基礎体力が半端じゃない。
水越 かなで
俺の小学生からの幼馴染だ。
中学校は違う学校だったが、高校は同じ学校に通っている。
うむ。
いつ見ても肩にギリ届くか届かないかくらいのショートカットがよく似合う。
顔立ちは一言でいうと大人っぽい。目鼻立ちが整っていることは然ることながら、どこかミステリアスな印象を受ける。
身長は女子の中では高い方で出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるため非常に女性らしい体つきだ。
「な~に見てんのぉ〜?」
おっとジロジロ見すぎたか。
「いや、芸術について考えていたんだ。彫刻とかな」
「それって裸体の女の人とかでしょ。いやらしい」
「何を言うか。あれは先人たちによる芸術の塊ぞ。いやらしいとか適当なことを言うな」
芸術なんてこれっぽっちもわかってない俺が言う。
「黒目どこ行った?」とツッコミたくなるほどすごく白い目で俺を見てくる。
「それよりも何で今日は先に行っちゃうのよ。わたしOXの前で待ってたんだけど?」
「いやごめん。今日は久々に違うルートで登校したくなったんだ。消防署とガソスタ通るルートから」
いつも俺達は一緒に登校している。
別に約束しているわけではないんだが、なんとなく成り行きでそうなった。
普段は学生の通りが少ない文化センター側から登校しているが、今日は多くの朝高生が使う通学路を使った。
特に理由はない。
「じゃあ、先に言っといてよ〜。十五分くらい無駄に待つ羽目になったじゃん。せっかく朝ご飯も買っといたのに」
そう言いながらジャムパンにかぶりつく。
「悪い。朝飯は駅ナカの喫茶店で済ませちった」
「ふぁいひんひょくひっさへんへふまふぇてるよね」
「はい?最後の疑問形しか聞こえんかったわ。パン咥えたまま喋るな」
「最近よく喫茶店で済ませてるよね。別に料理作るの苦手じゃないでしょ?家で食べればいいのに」
かなでは俺が高校生ながら一人暮らしをしていることを知っている。
もちろん俺の両親が離婚していることも知っている。
「いやいや。朝食を外で済ませる特別感は何物にも代え難いぞ?社会人ならまだしも高校生でこの経験は俺以外にはしていないだろ」
「はいはい、でたでた。特別感ね〜。最近、白は『特別』って言葉気に入っているよね。こうやって可愛い幼馴染と登校できることにも特別感を持ってほしいなぁ〜」
「朝ご飯を家に作りに来てくれるなら、特別感を少しは感じるかもな」
「流石に遠いよ。昔にみたいに家が近いわけじゃないんだから」
小学生の頃は俺の家からかなでの家は三十秒ほどで行ける距離だったが、中学生になってかなでが隣の区に引っ越したため家に行くには少し時間がかかる。
とはいっても電車で十五分くらいだが。
そんなこんなで雑談を繰り返しいていると教室まで着いていた。
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