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幻想滅亡録  作者: 光を求める旅人
博麗神社と魔法の森
6/7

episode6 悪化

大きな館へと向かった音華だったが予想外の展開へと急旋回。

また犠牲が増えるかもしれない…

歩いていると一瞬のうちに視界が紅い霧に包まれる。それを気にせずに進むと霧が晴れ、大きな館が見える。大きな館だが薄く汚れていていた。それが原因なのだろうか。どこか悲しげに感じる。

館の門が見え、それをくぐると館の中から喧嘩の声が聞こえた。内容的にどうやらフランの話のようだ。

音華「ここは確か紅魔館。主は...フランの姉...。」

音華は静かに館へと入り、聞き耳をたてる。


レミリア「フランは私が助けるって言ったでしょ!」

咲夜「手段を選んでいる暇はもうありません。幻想郷の平和のためには...最悪の場合も覚悟しなくてはいけません。」

レミリア「フランは私たちの家族でしょう...あなたにとってフランはそこまでの関係だったの...?」

パチェリー「レミィ!咲夜だって悩み続けてるんだからそんなこと言わないで。もう手段がないの。手遅れなのよ。」

レミリア「あなたたちが諦めても私たちは諦めない。」

咲夜「お嬢様!」

レミリア「もう手遅れだというのなら来なくていいわよ。私は一人で行くから。」


音華は話を聞いているうちに涙を流していた。

音華は館に入らずにそのまま外へ出ていった。


音華が外を歩いていると、後ろからレミリアが走ってやってきた。

レミリア「あなたさっき話を聞いていたでしょう。」

音華「!...なんでわかったの?」

レミリア「幻想郷では珍しい人間の気配だったから。」

音華「....そう。」

レミリア「なんで話を盗み聞きしたの?」

音華「真実を確かめたくて...」

レミリア「フランのこと...?」

音華「うん...この前霊夢に幻想郷の話を聞いたとき、フランに襲撃されて...考えたくはなかったけど...もしかしたらがあるかもって。」

レミリア「それで来たけど、結局違ったから帰ろうとしたの?」

音華「正確にはちょっと違う。帰ろうとしたのもそうだけど、ここら辺から闇属性の気配を感じたの。」

レミリア「闇属性の気配?」

音華「簡単に言うと負の魔法。呪いや洗脳みたいな相手を闇に引き込むものなの。そのちからは強いほど黒い霧となる。黒い霧は第六感が使えるものにしか見えない。」

レミリア「私に見えない理由はそれね...でも呪いの気配は感じてる。」


音華には黒い霧に包まれた森が、レミリアには呪力の流れが見えていた。

呪いの正体はフランであった。フランの周りを呪いが包み、その呪いによってフランは操られていた。

レミリア「フラン!」

音華「無駄だよ。音どころか視界まで遮断されてる。フランの目に何が写っているのかはわからないけど、少なくともフランに私達の声が聞こえていないのは確実。」

レミリア「......」

二人はフランのからだが少しずつ蝕まれていることを知っていた。だからこそ二人は焦っていた。


フランが二人へと攻撃する。その攻撃はあまりにも重く、そして速かった。

軽く受け止めようとしたレミリアは吹き飛び、そのレミリアを狙った追撃を受け止めた音華も吹き飛ばされた。幸いにも叩きつけられずに地面を滑って転がっただけであった。

レミリア「フラン!なんで私たちを攻撃するの....」

音華「レミリア!今のフランに声をかけても...もう....手遅れだよ...」

レミリア「そんなことわかってる...でも大切な家族だから....妹だから....少しでも可能性があるなら私は諦めたくない....」

音華「....私がフランの攻撃を受け止める。だからレミリアはフランを...救って。」

レミリア「任せて。」

フランの連続攻撃を音華が受け流す。その間にレミリアが何度もフランに向けて言葉を投げる。しかしどれも届くことはなかった。

レミリア「まったく効果がない...こうなったら.....」

レミリアはフランのもとへと歩いていった。操られているフランはレミリアの腹部に槍を突き立てる。

レミリア「うっ...でも...フランの苦しみに比べたら....」

音華「レミリア...なんで。」

音華が近づこうとするとレミリアがそれを止めた。

レミリア「今はフランと話をさせて...」

音華「わかった....」


レミリアは怪我をしながらフランへ語りかける。

レミリア「フラン....戻ってきて...これ以上誰かを傷つけても....もう....意味ないから....」

    「お願いだから.....戻ってきて....」

    「美鈴を失って....ものすごく後悔した.....もうこれ以上誰も失いたくない...」

レミリアの思いはフランに届いていない.....はずだった。

フラン「お....姉....様....?」

レミリア「フラン...!」

フラン「私を....コロシテ.....もう誰も......傷つけたく....ない.....」

レミリア「もう誰も失いたくない...だから」

フラン「私...一人....犠牲にして......みんなが....救える......」

レミリア「....でも....」

フラン「意識を.....保つだけで.....限界なの.....」

レミリア「.....」

フラン「お願い.....コロシテ.....」

フランの意識は再び奥底へと消えた。

レミリア「フ...ラ...ン......」

音華「危ない!」

フランの攻撃からレミリアを間一髪で救い出す。

レミリア「ありがとう....音華....」

音華「これ以上....時間はかけられない....フランのためにも。少しでもフランに意識が戻るようにフランを倒すしかない。」

レミリア「うん....」

レミリアの返事には心が感じられない....レミリアの苦痛が表情や動きに大きく現れていた。


 再び戦闘が始まる。レミリアの怪我と、フランの意識の混濁によって五分五分な状態が続く。長い間の戦闘で傷が増える。その場にいた全員が疲弊していた。

 手段を選ばずに音華がフランを攻撃する。

 フランはよけなかった。

 そして一瞬だけフランの意識が戻る。

フラン「いま...まで....ありが......と......う.....。」

 二人がフランと話そうとしている姿を前にフランは自分を刺した。強く、深く刺さったその攻撃はフランの命を奪うには十分だった。

 音華は一瞬の出来事に反応できず、ただその場に立ち尽くしていた。そんな音華に聞こえてきたのはレミリアの声だった。

レミリア「フラン!」

フラン「お...姉....様......」

レミリア「フラン!しっかりして!あなたまでいなくなったら......もう.....」

フラン「でも.....これ以上.......迷惑......かけたくなかった.....から...」

レミリア「死んじゃだめ!」

フラン「もう.....限界....なんだ....」

レミリア「フラン....」

レミリアはもはやフランへ呼びかける力まで失っていた。

フラン「お....姉....様....私の.....ため....に...あり....がとう....」

フランはゆっくり....目を閉じた。彼女の体からは温もりはもう感じられなくなった。

レミリア「.........フラン......」

 悲しみに沈んだレミリアに音華が声を掛ける。

音華「これが正しい選択なのかはわからない....けど....フランは自分の命と引き換えに皆の命を選んだ。」

レミリア「フランは死ななくてよかった!なのに....」

音華「でもフランはもう死んだ....今はもう手遅れだから....」

レミリア「そういう話をしてるんじゃないだろ!」

 レミリアが声を荒らげる。

レミリア「あなたは家族を失う気持ちがわかる?」

音華「わかるよ。」

レミリア「!...どうせ嘘でしょ....」

音華「確かに私は家族を失ったわけじゃない。でも霊夢の近くにいて、霊夢が魔理沙を失ってからのことが痛いぐらい伝わってきた。それにここに来る前....私は」

レミリア「何かあったの....?」

音華「なんでもない....とりあえず私はあなたとフランを連れて一度紅魔館に戻る。そこで何を言われようとも構わない。」

レミリア「....わかった....」


二人は紅魔館へと戻る。

投稿期間が空きすぎて自分でもびっくりした今日このごろですがいかがお過ごしでしょうか。

紅魔館編はあと1,2話で終わろうと思います。

そのあとは話が素早く進むのでおいていかれないように!

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