episode5 決断
霊夢とフランの戦闘はフランの一撃によって霊夢が倒された。霊夢がダウンし大妖精が瀕死。誰が死ぬか、ぞんな決断をする音華。待っているのは犠牲か全員の笑顔か。
目の前の惨状にほんのすこし音華の反応が遅れた。殺人鬼...もといフランの速度は霊夢を越えていた。音華は最初の一撃を交わすと同時に霊夢たちのもとへとんだ。チルノが無事なことを確認して、すぐに大妖精の方へ向かう。フランは勢いがつきすぎたせいですぐに攻撃してこなかった。音華が大妖精に触れると、すこしだけ冷たかった。死とまではいかなくてももうすこしたてば完全に冷たくなってしまう。音華は大妖精を魔法で回復したがほとんど効果はない。音華の魔法はあくまで怪我にしか使えず、瀕死までいけば効力を十分に発揮できない。霊夢にはおそらく効果があるが、それよりも完全に動けない大妖精とチルノを早く回復し逃げなければならない。時間がない。音華は戦いながら大妖精の回復をしなければならない。不利な状況だが今のフランに容赦はない。
音華が背中に差していた刀を抜く。漆黒に染まり周囲を闇へと変えるような力を放つ。
音華「夜桜...力を貸して。」
音華が刀を構えるとフランが高速で突撃する。フランをかわすと同時に刀を降ろうとしたが槍に防がれしたから蹴りを食らう。フランの蹴りが右足に刺さり骨がおれる鈍い音がする。
フランが右足を折ったことを確信し、すこし下がる。音華は一瞬で回復した後、フランへ突撃する。フランは不意を突かれたのか、槍を降り下ろすもそれは音華に当たらず音華の横薙ぎによって腹を切られたが後ろに下がり攻撃を半分かわしていた。それをきっかけにしてしばらくの間斬り合いになっていた。しかしチルノの言葉で状況が変わる。
チルノ「大ちゃんのからだが....すこしずつ冷たくなってる!」
音華「!」
もう一秒の猶予すら残されていない。フランと戦い隙を見て逃げるのが、今すぐにげるへと変わった。しかしフランがそれを許さない。
音華は決断をした。
目を覚ますとそこは博麗神社だった。フランの攻撃によって強く全身をうち、意識を失った。意識を失った後聞こえたのは大妖精の体が冷たくなっている。というチルノの訴えだけだった。体の痛みはすこしだけあるが回復していた。布団からでて隣の部屋を見ると泣いているチルノと複雑な表情でたつ音華がいた。まさかとは思い私は問いかけた。
霊夢「大妖精は...?」
音華「...なんとも言えない状態。」
チルノ「助けられなかった....」
霊夢「....」
音華「生きてはいる。ただもう二度と目は覚まさないと思う。」
霊夢「なんで....?」
音華「あのとき出血で瀕死だった。急いで手当てしたけど...脳や脊髄が一部損傷している。私の魔法でも直せない。」
霊夢「....そのまま寝かせておいてあげて。」
音華「私たちが世話しなければ彼女はいきられない。」
霊夢「...私たちは魔理沙たちを止めなければいけないし....チルノは?」
チルノ「やる。お世話する。絶対助ける。」
チルノの代名詞である最強という言葉もこの状況では出てこない。
霊夢「とりあえず外に行きましょう。」
音華「わかった。」
二人は外に出る。
霊夢「結局どうなったの。」
音華「.....危機は脱したんだけど....状況は良くなかった。」
あのときのことが甦る。
大妖精の体が冷たくなり始めたとき、音華はフランと戦う決断をした。チルノに大妖精を任せ、チルノの回復をした音華はすぐにフランへ突撃した。槍と刀が交わり、大きな音をたてる。フランが槍を降り下ろすもそれを音華が避ける。フランが分身を使い全方向から攻撃をする。音華の体には傷が増え始めていたが、フランの分身は一人ずつ減っていった。最後の一人になったとき二人は同時に突撃した。それでも決着がつかずに戦いが長引いていった。長い戦いに終止符を打ったのはフランだった。攻撃の途中で蹴りを音華へ刺した。この攻撃は想定外だった。音華は避けれずに吹き飛ばされた。骨がおれる音が音華の中で響き、木に打ち付けられて再び鳴り響いた。それでも音華は諦めない。フランの攻撃がやんだ一瞬の隙に刀を持ってフランに横を過ぎると共にフランの腹を斬る。フランの反応は遅かった。フランは腹の近くから血を流し、そのまま後ろへと下がった。致命傷ではなかったが傷が深くはなかった。フランはそこで後ろへと去っていった。音華は霊夢を担ぎそのまま博麗神社へと走っていった。
状況を聞いた霊夢が疑問を持つ。
霊夢「大妖精はあの時点で死にかけだったのに戦闘したら明らかに手遅れになるはず...」
音華「私の能力には回復魔法を他の人の一部にずと使うことができる。ただし火力や速度とかの低下は起きる。結構副作用強いからほとんど使えない。」
霊夢「だから...それでも大妖精がこの状態っていうことは...」
音華「既に手遅れだった...ってことになる。」
霊夢はなにも言えなくなり長い間沈黙が訪れた。そんな空気のせいか音華は急に切り出した。
音華「私は別で行動する」
霊夢「なんで..?やっぱり私たちじゃ足を引っ張る...?」
音華「その逆だよ」
音華の骨折は全く治っていなかった。霊夢も気づいていたようだが話すことはなかった。
音華はすこし悲しげに去っていった。霊夢たちへ向けた感情というより、後悔のように感じられた。
魔法の森での戦闘は終わった。次なる戦いが待っている。
自らの妹が敵となりメイドが一人犠牲になった悲しき館の主のもとへと音華は足を運んだ。待っているのは拒絶かそれとも...拒絶ができないほどボロボロになっていたらもう手遅れかもしれない。
第一章これにて終わりとなります。第二章紅い館と裏の影これより始まります。
個人的に今回は戦闘が短めかなと思っています。次回は戦闘シーンが長くなるかもしれませんね。ところで小説の方では軽く紅魔館の紹介がされていましたが...どうやら既に犠牲が出ているかも...悲しいですね。この犠牲が館の主とその家族にどんな影響を及ぼしているのか...次回までお待ちください。